受賞作品一覧

心あったまる「ふれあい散歩道」

入選
竹田 詩穂
兵庫県
賢明女子学院中学校
中学校1年生
第33回 中学生の部

全体説明

姫路はまだまだ豊な自然が残っているところが多い。その中でも今回取り上げたのは私にとって一番身近な…というよりも生活の一部といってもいいぐらい大切な「深志野の村の散歩道」である。「遊びに行ってくる!」と言って家を出る先はいつもこの場所。自転車やJボードの猛練習をしたのもこの場所、弟が生まれてベビーカーで一緒に散歩したのもこの道。いつもはあるのが当たり前で、自然を意識したこともなかったけれど、改めてよく観察しながら歩いてみると、たくさんの小さな自然が溢れていることに気がついた。母と一緒に「自然探し」をしながら歩いていたら、何人かのおじいさんやおばあさんに声をかけてもらった。普段からそうだけれど、話しかけて下さる方が多い。昆虫や鳥、植物などの自然にふれあえるのはもちろん、地域の方ともふれあえる、このコースは心が温かくなる私のとっておきの場所である。

観察ポイントごとの説明

①東の宮

桜がとても美しく毎年お花見で盛り上がる。昔はこのお宮の中に保育園があり、祖父も通っていたそうだ。中にはクラス写真が飾られていたり古い絵本やおもちゃがそのまま残されていたりして、歴史を感じることができる。一度、道の拡張工事の計画があり、桜を全てのけてしまおうという話になったそうだ。地元の人たちの反対で計画がなくなったと聞いた。これからも絶対に大切にしていきたい。

②家の裏

直接見ることは難しいが、夜になるとなんと野生のあらいぐまが出没する。あらいぐまといえば、アニメでも出でくる可愛いイメージだが、野生はそうではない。何事かと思うような鳴き声、庭の植物を荒らす、物置の道具を倒すなど被害は出でいる。足跡を見ることはできる。私たちにとっては嬉しいことではないが、身近なところにあらいぐまというのは少し自慢したい気持ちになる。

③グランドの周り

みんながよくキャッチボールやサッカーをする場所。この周りには虫がたくさんいる。どこからか種が落ちたのか誰かがまいたのか、朝顔も毎年咲く。小さい頃は弟たちとよく虫捕りをして遊んだ。今でも弟たちを連れて虫捕りに付き合うことがあり(自分もよく遊んだなあ。懐かしいなあ。)と思うことがある。深志野の子どもたちにとって守っていきたい場所である。

④畑

ここだけではないが、全般的に畑や田んぼが点在する深志野。畑ではキャベツ、さつまいも、かぼちゃ、いちご、すいか、豆類、大根、人参…などのいろいろな野菜などが作られている。つまり虫や鳥などにとって適した環境が多いということになる(作られている方にとっては困ることだと思うが)。当たり前のように豊な自然に囲まれて暮らしてきたんだということに気づかされる。

⑤北の草はら

さらに北に歩いていく。車が通れないほど細い。そこに草が伸びたままの敷地があり、カナヘビや蛙、ミミズなどが出てきて道を渡る。は虫類や両生類が苦手な人には嫌な道だと思うが、好きな人には穴場である。特に梅雨時には蛙の合唱が鳴り止まない。カエルもいろいろな種類がいて、ウシガエルを発見した時は得した気分になる。また秋の夜にはコオロギや松虫が涼しげな合唱を聞かせてくる。

⑥突き当たりの川と周辺

突き当たりまで歩いて行くと川が見える。水の量はそれほど多くないが魚(名前はわからない)やアメンボなどがいる。秋には秋祭りがあり太鼓と笛、子どもたちのかけ声で一気ににぎやかになる。川の側には竹やぶが続いていて風情がある。普段はとても静かで川の音だけが聞こえる。知る人ぞ知る散歩コースである。私もちょっと身体を動かしたくなった時に、川沿いのランニングを楽しむ。

⑦川沿い(その2)

竹やぶや栗の木を見ながら歩いて行くと、黒い灰のようなものがたくさん飛んでいた。近くまで行くと羽の黒いトンボだった。気になったので家に帰って図鑑で調べてみたら「羽黒トンボ」と書いてあった。私は初めて羽黒トンボを見たのでびっくりした。他の種類のトンボやチョウも多く見られた。しおからトンボ、おにやんば、ぎんやんま、アゲハチョウだ。しばらく眺めていても飽きない景色である。

⑧祖父の畑

栗の木からそのまま広い道に出て一筋目を左に入るとあぜ道が続き、祖父の畑へとつながっている。春にはたんぽぽやれんげ、しろつめぐさ、なずななどたくさんの野花が咲く。なずなといえば、「ガラガラ」と呼んでいて、ハートのところを少し下にひいて、全部できたら振って音を鳴らして遊ぶというのをよくした。なかなか正式な名称をその時は知らなかったが、ほとけのざ、ハルジオン、などでよく遊んだ。

⑨畑のあぜ道

春にはつくしが咲く。今はつうしと聞いても実際に見たことがない人もいるらしいが、ここにはたくさんある。祖父の時は今よりももっと多くてよく一緒に採って炊いたりしていたそうだ。母はつくしを一本ずつコンコン叩いて緑の胞子を集めて、ままごとに使っていたそうだ。この自然を残しておくために畑を持っている人たちが協力してみぞのそうじをしたり草をぬいたりしておられるそうだ。

⑩お宮の西側

秋になるとツバメがよく来る。大きなツバメの後を小さなツバメがついて飛んでいる姿を見ることができる。ツバメはかなり用心深い鳥らしく、巣を作る場所というのは、ツバメが安心だと選んだ場所だと聞いたことがある。毎年同じ場所に巣を作っているということは、このお宮がツバメにとってどれだけ安全かということが分かる。いつまでも毎年ツバメたちが戻ってきてくれるように願っている。