自然の森の散歩道
西村 一輝
奈良県
智辯学園中学校
中学校1年生
全体説明
柿で有名な五條市西吉野町は奈良県の中南部にある山村です。国道を車で走っていても周りを山に囲まれた自然豊かな所です。
そして、山道を標高四二〇mまで登った所に僕がよく行く曾祖父の家があります。
散歩道はその家からまださらに登った標高四七〇mの所にある善源寺からスタートし、途中家の周りを観察しながら森を進み、最後は渓流のある広場がゴールです。早朝と日暮れ時とでは同じ散歩道と思えないほど出会える生物が変わるのでよく散策コースにして楽しんでいます。
この散歩道は自然がそのままなので、鹿や猪などと遭遇することも珍しくありません。ちょうど観察の日も、いろんな生物に出会うことが出来ました。
そんな大自然を、そのまま紹介したいと思います。
観察ポイントごとの説明
①このお寺には小さな池があり、三月にとても長いカエルの卵があったので、調べて見るとヒキガエルの卵だとわかりました。そして五月には小さなオタマジャクシがウジョウジョと生まれていました。でも生き残れるのは極わずかだそうで、自然の厳しさを感じました。
②お寺の広場には珍しい笹が生えています。緑色の笹のフチが白いクマザサです。冬の寒さが厳しい斜面を好むようです。冬にはこのクマザサの葉で雨や雪をしのぐように軸にはカマキリの卵がついているのをよく見かけます。
③お寺を出ると、竹やぶがあり春にはタケノコがあちらこちらに生えてくるのですが、タケノコが未だ土の中にあるうちからイノシシい掘り起こされ食べられてしまうものもあります。
④山道を進むと針葉樹の森へ続く道があります。森の方へ耳をすませると、アブラゼミやミンミンゼミ、ツクツクボウシなど賑やかに鳴いていました。夕方になるとカナカナカナカナとヒグラシが寂しげに鳴きはじめます。足元にはふ化した後の抜け殻がまだ木にしがみついていました。
⑤途中で家に立ち寄ると、軒下の乾いたサラサラの土に、すり鉢の様なわなを作り、その砂の中でアリなどが落ちて来るのを待ち構えているアリジゴクをみつけました。アリジゴクとはウスバカゲロウの幼虫で、後にしか進めないけど上手に砂にもぐります。
⑥家の中に入るとあの日本最大のトンボのオニヤンマが家の中に迷いこんできてビックリしました。それに比べてアキアカネは、小さくいつも団体で飛んでいてすぐに指先に留まってくれます。暑い夏は、涼しい山地に避難してきます。
⑦家に着くとヤモリが壁を上手にのぼり、そして池にはイモリが泳いでいます。見た目はよく似ていますが、ヤモリは爬虫類(カメやトカゲのなかま)で全身がグレーですが、イモリは両生類(カエルのなかま)で、背中は黒いのにお腹は赤く、泳ぐのが得意です。
⑧家の裏にまわると、山から湧き出た水が石垣の間を伝って流れている小さな沢があります。じっと見ていると、三cmほどのサワガニが石垣の間から少し警戒しながら出てきました。右のハサミが大きかったのでオスです。メスは左右のハサミの大きさが同じです。
⑨上空ではトンビが大きな羽を広げて、円を描くように飛んでいました。きっと獲物を探しているのでしょう。冬の夜には木の枝に留まったミミズクと出会いました。大きな丸い目がかわいいです。フクロウと似ていますが、ミミズクには耳のように見える羽角という羽があってかわいいです。
⑩森の中を進んで行くと、山の中に細い道を見つけました。これは、シカやイノシシが通ることによって出来た、獣道です。
ちょうど夜、ニホンジカを見ることができました。オスの様で、枝分かれした立派な角があり、一度振り返りすばやく去って行きました。
⑪ゴール地点には、渓流があり一年を通じて水温は三十度以下と冷たく、アマゴが気持ちよさそうに泳いでいます。アマゴの体にはパーマークといわれる青縁色の模様と、赤いはん点があるのでわかりやすいです。この辺りは街灯などが全くないので、夜になると真っ暗で、ゲンジボタルの光がとてもきれいです。