応募期間

2024年6月1日 (土)~ 9月30日 (月)

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環境大臣賞
第32回 中学生の部

田中生物部の放課後の観察路

黒﨑裕貴・鈴木達三

和歌山県
和歌山県立田辺中学校
中学校2年生

全体説明

僕たちは、和歌山県立田辺中学校生物部の部員です。生物実験室を拠点にして活動しています。僕たちが放課後にいつも出かける生き物いっぱいの観察路を紹介します。

生物部の放課後の観察路は、オオカナダモの水路、東陽中学校裏の田、畑、水路、野原、瓦置き場、田高の森、プラナリアの溝、タヌキ溝、中庭、実験池です。東陽中学の裏の野原は、生物部で初めて来たところで、その瓦置き場でつかんだシマヘビこそが、僕が初めてつかんだヘビです。

学校の中庭には、絶滅危惧のトガサワラなど珍しい木や天然記念物のオリーブの老樹があります。田高の森は50年ほど前に紀伊半島の照葉樹林をモデルに作られた森です。生き物が多いので、最高の場所です。

ゴールの生物実験室にはメダカやフナなどの在来種のほかに、アフリカツメガエルなど外に出せない外来生物もいます。いつでも生物を観察できる僕らの楽しい部屋です。

観察ポイントごとの説明

①オオカナダモの水路

田んぼの用水路には、オオカナダモとカダヤシがたくさんいます。メダカと似ていますが、黒い模様が違うのでよくわかります。大きいものは1.5cmもあり、お腹が大きくふくれています。小さいものもいます。カダヤシは卵胎生で、先輩は稚魚が生まれるのを見たことがあると言っています。アオミドロも生えていて、その陰に5mmほどのスジエビや、ハゼ、モノアラガイが大量にいます。

②東陽中学の近くの田んぼ

田んぼには、オタマジャクシ、ホウネンエビ、カイミジンコ、アカムシなどがいます。ツチガエルとアマガエルがいるので、オタマジャクシはその子だと思います。田植えの時期に大発生するホウネンエビは少し緑色で、水面に腹をむけて泳ぎます。実験室に持ち帰って飼いましたが、すぐに魚に食べられてしまいました。楕円形のカイミジンコも大発生します。

③東陽中学近くの畑

季節の野菜が植えられています。春にはカンサイタンポポ、セイヨウタンポポ、オオイヌノフグリ、ナズナなどがたくさん咲きます。春にはモンシロチョウがたくさん飛んでいました。夏から秋には鳴く虫の声も聞けます。ヤモリ、カナヘビ、シオカラトンボ、アキアカネ、コオロギ、キリギリス、ミドリカメムシなど季節によってたくさんの昆虫や爬虫類がいます。

④東陽中学裏の水路

僕たちが楽しみにしているのは、東陽中学校の裏にある水路です。水路には、アカムシ、ミズムシ、ブルーギル、ヤマトヌマエビ、テナガエビ、カダヤシなど色々な生物がいるため、水中の生物の観察をするのにはもってこいです。1mくらいの幅の水路なので、水草はありません。ブルーギルがいるのは不思議ですが、この用水路の上流にふたつ池があるので、そこからからくるのだと思います。

⑤東陽中学の裏の野原

ここは住宅予定地で、日当たりがよく、ススキやメリケンカルカヤ、メドハギなどの草が生えています。草の陰にはヤモリ、カナヘビ、アシナガバチ、フツウミミズ、ダンゴムシ、ショウリョウバッタ、コオロギなどの昆虫や爬虫類などがいます。ここは、ぼくが生物部に入って初めて採集に来たところで、お気に入りの場所です。

⑤瓦置き場

学校へ戻る道の途中にある、瓦のような物がたくさん積まれている所に寄ります。そこには、シマヘビやヤマカガシなどのヘビがいます。マムシは見ていません。その場所で、シマヘビを生物部の先輩や部員が捕まえました。僕はヘビに触ったことがなかったのですが、そのヘビこそが、僕が初めてつかんだ蛇です。つるつる、冷たくて、気持ちよく、噛まれずに掴むコツがわかって嬉しかったです。

⑥田高の森

グラウンドを横切って、田高の森に行きます。50年ほど前、田辺高校がここに移転した時に、当時の先生や生徒が周辺の照葉樹林の植物を集めてモデルになる森をつくったそうです。クスノキ、タブノキ、ヤブツバキ、タイミンタチバナなどたくさんの種類あり、ササが生えています。剪定した枝などが積まれているので、色々な生き物がいます。土壌動物も多くいろんな生物を観察できて最高です。

⑦生物実験室の横の下水路

学校の生物実験室のすぐ近くにある下水路に行きます。そこにはミズムシとプラナリアがいます。プラナリアは、再生能力が高く切ってもまた生えてきましたが、消えてしまうこともあります。それは、切り口から胃液が出て、自分を溶かしてしまうからだそうです。ミズムシは汚い水、プラナリアはきれいな水の指標生物なので水質判定はどちらか困ります。夏には干上がって何もいなくなります。

⑧タヌキ溝

生物室の横に鉄板でふたをした溝があります。夕方遅く、溝の鉄板の隙間にタヌキがヒョンと飛び込むのを見ました。ゴミステーションで餌をあさっていたようです。こんな近くにタヌキが住んでいるのにびっくりしました。9月にはマテバシイの実がたくさん落ちて、何かが食べに来ています。ここでは、イタチも見ました。生物室の明りにアブラコウモリが飛んできて、窓下に糞をしていきます。

⑨中庭

中庭には、トガサワラ、ヒトツバハギ、キキョウランなどこの地方では貴重な植物が植えられています。南方熊楠が好きだったアンドウミカンもあります。田辺市の天然記念物のオリーブの老樹もあります。夏にはアブラゼミの鳴き声がうるさいくらいです。また、他より遅咲きのヤマザクラがあります。ヤマモモもたくさん生ります。庭で、飼育生物の餌になるミミズ、ダンゴムシなども採ります。

⑩学校の実験池

ここには、オオカナダモ、ミカズキモ、オオサンショウモ、フナ、カダヤシ、コイ、ミシシッピアカミミガメ、クサガメがいます。僕たちは、田辺市鳥の巣半島のため池で、アフリカツメガエルを調べていますが、実験室の水槽で飼育し、池へ逃がさないように気をつけています。ミシシッピアカミミガメはミドリガメが大きくなったもので、特定外来生物なので移動させることができません。

ゴール:生物実験室

僕らが活動の拠点にしているところです。ここでは、ウグイ、フナ、ドジョウ、ヤマトヌマエビ、スジエビ、アフリカツメガエルを飼っています。アフリカツメガエルは、要注意外来生物です。そのほかにもジョロウグモを飼っている先輩もいました。生物実験室はいつでも生き物を観察することができて、最高に楽しい部屋です。

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