応募期間

2024年6月1日 (土)~ 9月30日 (月)

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受賞作品一覧
佳作
第26回 高校生の部

花と私、開花の散歩道

玉石真理

兵庫県
賢明女子学院高等学校
高校1年生

全体説明

私の住んでいる町、有年は山がすぐ近くで建物が少ないので、ありのままの緑を沢山見つけることができる。自然の宝庫です。四季の移ろいと共に変化していく多様な色どり。それを見ることが、私の何よりの楽しみです。この散歩道は、悩み事などでイライラしてしまってリフレッシュしたい時などにおばあちゃんと歩く私達の定番の散歩コースです。それまでどんな悩み事があっても、二人でおしゃべりして道草を食っている間に、全てどこかに飛んで行ってしまいます。こんなに小さな虫や草花たちも数々の困難がありそれを乗り込えて一生懸命に生きているというのに、私がこんなちっぽけなことでいつまでもなやんでいたら先に進めないわ、と思えるのです。私の悩みを解消してくれて、癒しや栄養たっぷりの美味しい野菜、果物を私達に届けてくれる自然。これからも大切にして、この散歩道と一緒に自分を咲かせて行きたいと思います。

観察ポイントごとの説明

(1)ヤブマオ

家を出て少し歩いた所に、まず一番最初に目に入るのがこの、ヤブマオです。よく似た仲間でオニヤブマオ、ナガバヤブマオがあります。ヤブマオはオニヤブマオに比べると葉の先に近いほど葉のふちの切れ込みが大きいのが特徴らしいのですが、ナガバヤブマオとの区別は大変むずかしいです。私はいつもここで心呼吸をしてから次のポイントを目指します。草のにおいと澄んだ空気が心地よいです。

 

(2)ヘクソカズラ

名前を聞いたときびっくりしました。こんなに可愛い花を咲かせるのに、ヘクソカズラだなんて! 理由は、草全体に悪臭があるからです。まさか、あの見た目だからそんなことはないだろうと思い、臭いといわれる黄色い球形の実をつぶして嗅いでみたことがあります。……忘れられない体験になりました。何事も、見た目だけで判断してはいけないと改めて実感しました。でも面白いので大好きな野草の一つです。

 

(3)ノブドウ

山側の方の道でよく見かけます。ブドウみたいなので食べても良いかとおばあちゃんに尋ねたら、毒があるから全絶に食べてはいけないと強く言われました。仲間のヤマブドウは、山地に生える種類で食用になり、ブドウ酒の色づけに使われています。見ているとなんだかブドウが食べたくなる、そんな野草です。小さい実がコロコロとしていて可愛いです。

 

(4)ヒルガオ

一見アサガオのように見えますが、花はうすいピンク色で、アサガオよりひとまわり小形です。夏の日中に花を咲かせているので、ヒルガオと言います。アサガオ、ヒルガオと来たらヨルガオもあるみたいです。おばあちゃんに、あんたはヒルガオみたいねと言われたので嬉しかったのですが、よくよく考えてみるとそれは、朝起きるのが遅いという意味だったのでしょうか。

 

(5)ツユクサ

夏の早朝、朝露にぬれながら青い花を咲かせるのでツユクサという名前がつきました。チョウチョに良く似ているなと思います。なのでまるで青いチョウチョが朝露を吸いに来たかのようにも見えます。ここのポイントの近くには池があって、カモや白鳥などがしばしば遊びに来ます。私達は時々エサを与えます。

 

(6)エノコログサ

思わず触りたくなるようなフワフワ感です。エノコログサの「エノコ」とは子犬のことで、「ロ」は「尾」のなまったものです。別名はネコジャラシで、こっちの方が良く知られた名前だと思います。猫が犬のしっぽを好きだなんて、なんだかおかしな気がします。これはおばあちゃんの好きな野草だそうです。

 

(7)スベリヒユ

肉厚の葉や茎にはつやがあります。名前の由来は、すべすべした葉だからであるとか、ゆでて食べるとぬるぬるするからであるとか言われています。食用として若葉をゆでて水にさらしておひたし、あえ物、汁の実などにできるそうです。おじいちゃんはこれを食べすぎておなかをこわしたことがあるとおばあちゃんが笑いながら教えてくれました。

 

(8)チガヤ

どこにでも見られて、晩春に白いもの花穂ができます。一面に白穂が風にそよぐ風情はすごく美しいそうです。つぼみの穂は甘く、これをツバナと言うそうです。地下茎は薬用効能があるそうです。見ているだけでは想像できない役目を知って驚きました。植物はどこまでも私達の暮らしを支えてくれています。

 

(9)オシロイバナ

花は夕方から開き良い香りがします。果実の中に白い粉質の胚乳を含むのでこれを白粉に見たてて名前をつけられました。なんだか京都の舞子さんのイメージがあるこの花ですが、実は熱帯アメリカ原産の帰化植物です。ここの近くには溝があって、昔はここでザリガニを捕まえたり釣りをしたりしました。今の釣り好きの私の原点がこの場所です。

 

(10)オオバコ

水田のあぜなど人の踏みつけの多い場所によく生育しています。オオバコの葉や種子はセキ止めの薬です。花茎がじょうぶなので、交差して引っ張り合い「草ずもう」と言って遊んだことがあります。私はいっつも負けていましたが、凄く楽しかったことを覚えています。あまり遠くまで行くとおばあちゃんの足が痛くなるので、いつもここから家に帰ります。家に着くと大輪のヒマワリが私達におかえり! と元気な笑顔を見せてくれます。

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