受賞作品一覧

ちょっとぶらり私の散歩道

優秀賞
坂美利佳
兵庫県
賢明女子学院高等学校
高校1年生
第28回 高校生の部

全体説明

私の住む兵庫県姫路市南西部には、世界文化遺産の姫路城がある都市部のような大きなビルなどがあまりなく、たくさんの田んぼや畑が広がっています。そして今回の私の散歩道は、小学生の時はマラソン大会のコースにもなったり、今では毎日通学路として通っている道でもあります。そんな親しみやすいこの道は、私の散歩にはぴったりな道です。

 今回の観察でたくさんのことを知ることが出来ました。周りにたくさん田んぼや畑はあるけれど、こんなに色んな種類の生き物達が近くに住んでいるなんて正直驚いたし、何より少し立ち止まっただけでこれだけたくさんの生き物達に出会えるなんて幸せだなと感じました。また見つけた生き物について調べるのも楽しかったので、これからもっと探してもっとたくさんの生き物達と出会えたらいいなと思いました。私はそんな風に思わせてくれるこの場所が大好きです。

観察ポイントごとの説明

(1)

夏になると必ず家の前の道路にサワガニが歩いています。なぜ毎年同じ場所に現れるのか、そして近くに川はないのにどうやってここまでやって来たのか不思議で仕方ありません。またサワガニは毎年私の家の庭の同じ場所や玄関にも現れるので、私の家ではこのようなサワガニを庭や玄関で見かけると、御先祖様が帰って来られたのだと思うようにして、絶対に触らずに、大切に見守るようにしています。

 

(2)

夏の朝、私は毎日このモーニングコールで目覚めます。「ジーシャシャシャ…。」家の松の木にとまっているクマゼミです。そして夏休み中にはクマゼミがたくさんとまっている木々の間を通って朝学校へ行くので、なんだかクマゼミ達が「いってらっしゃい」と言ってくれているようで、うれしくなります。他にも午後には油を熱した時の「ジリジリ」という音に似ていることからその名がついた、アブラゼミなどもたくさん見かけます。

 

(3)

家の近くを散歩していると、ゴーヤがたくさん育っている家がありました。いわゆる「ゴーヤのカーテン」です。今年は「節電」という言葉をよく耳にしますが、ゴーヤのカーテンは節電対策の一つです。成長の速いゴーヤを窓などの外にカーテン状にすることによって、直射日光を避けられ、多少暑くても、エアコンの温度を高めに設定できたりします。さらにゴーヤは夏バテにも最適な食べ物なので、この夏にはもってこいです。

 

(4)

この道の右手にはひまわり畑が広がっています。ここにはミツバチやテントウ虫などのかわいらしい昆虫や、時にはスズメバチのような危険な昆虫も居ます。だからひまわり畑に見とれていると、「ブーン」という音が聞こえてビクッとします。スズメバチは猛毒を持っているので、刺されると危険な状態に陥ってしまいます。蜂は黒色に反応して近寄ってくるので、ひまわり畑を見に行く時はなるべく黒色の服を着ないことをおすすめします。

 

(5)

この水尾川ではよく合鴨の家族を見かけます。彼らは一列にきちんと整列して泳いでいます。そしてお父さんと思われる合鴨を先頭に、子供達をしっかりと連れて泳いでいる姿がなんとも可愛らしいです。また彼らは田んぼでもよく見かけます。彼らは雑草や害虫を食べてくれて、さらにその食べた後の排泄物が稲の養分となり、化学肥料や農薬によるコストがなくなるので、田んぼでは大活躍しています。

 

(6) 

6月頃、おじいちゃんの田んぼの田植えの手伝いをしていた時、不思議な甲羅を背負ったカブトエビがスイスイと泳いでいました。カブトエビの別名は「生きた化石。」すごく長生きするのだろうと思いましたが、カブトエビの命はなんと平均的には一ヶ月しかありません。おじいちゃんによると稲の発育に悪影響を及ぼす雑草を食べてくれる救世主だそうなので、別名のように長生きしてくれたらよいのになと思いました。

 

(7)

毎年夏になると溝や稲の間に、ジャンボタニシの卵を見ることが出来ます。ジャンボタニシの卵は赤色で、たくさんのつぶが一つに固まっています。彼らの卵は稲の間に大量発生する稲の害虫として知られていますが、実は外来種なのです。今日本にはたくさんの外来種が入ってきて、日本産の生物が絶滅しかけています。でもこれも人間によって持ち込まれたもの。日本産の生物をいかにして守れるかがこれから課題になってくると思います。

 

(8)

この川には今ではなんと絶滅危惧種になってしまったメダカも泳いでいます。メダカは日本に棲息最も小さな淡水魚です。私が小さい時はどこの川に行ってもメダカを捕まえることが出来ましたが、今ではその姿をみかけることも少なくなりました。私の家でもメダカを飼っていますが、毎年4月頃の産卵時期になると、水草にたくさんの卵を産み付けます。自然ではありませんが、しっかりふ化させてメダカを守っていきたいです。

 

(9)

春から夏にかけての時期、山椒の葉に鳥の糞に見えるものがついていました。私は植物に糞を落とさないでほしいなと思いながら気になったので、近づいてみました。すると鳥の糞だと思っていたものは、黒っぽい体に白の模様がついたアゲハ蝶の幼虫でした。その幼虫は自分の体を鳥の糞に見せることで、さもこの小さな命についうっかりだまされてしまいました。

 

(10)

そのまま歩いていくとレモンの木を見つけたので観察していると、緑の芋虫を見つけました。それはさっきより少し成長したアゲハ蝶の幼虫でした。カラフルな大きい目でこちらを見ているなあと思いしばらく見ていると、おかしなことに気づきました。目なのに瞬きをしないのです。なんと私は同じ虫に2回もだまされてしまいました。それは目ではなくあの美しいアゲハ蝶になるために敵から身を守るための模様でした。