応募期間

2024年6月1日 (土)~ 9月30日 (月)

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受賞作品一覧
佳作
第29回 高校生の部

私とキャンディーのお気に入りロード

中村花音

兵庫県
賢明女子学院高等学校
高校1年生

全体説明

タイトルにあるキャンディーというのは、私の家の飼い犬の名前です。キャンディーは毎日家族と一緒に1キロメートル程の決まったルートを歩きます。しかしキャンディーは歩くことそのものを楽しんでいるようで、たった20分で歩いてしまうのです。田舎と言っても、いつもの散歩道は途中に少しだけ通る土手を除くと普通の道路ばかりなので、本当に生き物なんて居るのかと不安に思っていましたが、意外なことに自然はすぐそこにあったようです。

 生き物たちを観察しながら歩いていると、なんだか懐かしい気持ちになってきます。考えてみれば私が見つけた生き物たちは小さい頃はあたり前のように知っていた物たちばかりでした。大きくなるにつれ自然に触れることがなくなり、いつもこんなに近くにあったのに忘れていました。

 キャンディーと一緒に歩きながら、楽しくもう一度自然に触れてみませんか?

観察ポイントごとの説明

<ポイント1>

 キャンディーは陽気に前を向いてズンズン歩いていきます。でも私は少し上を向いてみます。するとまず居るのがシオカラトンボです。シオカラトンボはオスが粉をだすところからそう呼ばれるそうです。もう少しするとこの空に飛びかうのがアカトンボにかわるのでそれも楽しみです。

 

<ポイント2>

 歩いていくとキャンディーが何かを見つけたようです。シラサギです。シラサギは私の住んでいる姫路市の鳥ですが、実際にシラサギという鳥はおらず、全身の白いサギを総称してそう呼ぶのだとか。こんな水の汚いところにたくさんいるのは、シラサギはその方が住みやすいからだそうです。本当にキレイな鳥です。

 

<ポイント3>

 キャンディーが草や花の匂いをかいでいる間、私も立ち止まり下を見てみると水路にアメンボがたくさん居ました。よく小さい頃にとりました。そんなアメンボはなんとカメムシの一種です。体から飴のような匂いを出すためにその名がつきました。水の表面張力を利用して動いているのでそれが無くなると、死んでしまうから自然の中でないと生きられません。

 

<ポイント4>

 土手にやってきました。キャンディーは土手が好きなのでとてもご気嫌です。私は桜並木から聞こえてくるクマゼミの声にクラクラです。クマゼミの増加は地球温暖化の悪化の象徴で、この鳴き声が自然からの警鐘に聞こえてきます。

 

<ポイント5>

 桜並木と反対側をみると、川にかわいいカモがいました。ここには2つの川の合流地点でエサとなる小魚が多いからか、カモがよく集まってきます。春はとても小さな子ガモが母ガモのうしろを一列になってついて行っていてとてもかわいいです。

 

<ポイント6>

 やっと土手をおりて、そろそろキャンディーもつかれてきたみたいです。私も暑さでかなり疲れました。少しその場にしゃがむと溝にメダカの群が泳いでいます。最近メダカが少なくなってきたと聞きますが、ここにはまだいっぱい泳いでいます。私が小さい頃メダカと思ってつかまえたのがフナの子どもでびっくりしたこともありました。

 

<ポイント7>

 そのまま溝を見ながら歩きました。すると溝の中に赤い何かが居ます。アメリカザリガニです。もともとウシガエルのエサとしてアメリカから持ちこまれた20匹が逃げまわって広まったそうですが、最近は日本のザリガニよりこっちの方が良く見るので少し切ないです。

 

<ポイント8>

もうすぐ家です。キャンディーは足どりが軽くなって来ました。そういえば、この散歩中、いたるところにジャンボタニシがいました。正式には「スクミリンゴガイ」というそうです。なんとも言えない容姿の生き物です。

これも昔はあまりいなかったので、異常気象によるものかも知れません。カモたちにはエサになって、たすかっているようです。

 

<ポイント9>

 あと数メートルでゴールというところでキャンディーは気がかわったようで家から遠ざかって行きます。道をまがると田んぼにはカブトエビが居ました。カブトエビは“生きた化石”と言われていて、とても原始的な見た目をしていて不思議な感じがしました。

 

<ポイント10>

 今度こそ家に近づいてきました。キャンディーは先ほどの水路の延長線上にあるここの水路をじーっと見ています。私も見てみると大きなナマズがいたのです。たまに運が良ければ発見できるのです。調べたところ、ナマズもザリガニのように外来種が広まっているらしく、ショックでした。

 

<ポイント11>

 ナマズを見ていると横からブーンという音が聞こえたので急いでふり返るとクマバチが花の蜜を集めていました。私はとても怖かったのですが、実はオスは針がないそうなのでそのハチがオスなら恐れる必要は全くなかったみたいです。でもそのことをまだ知らなかった私は急いでキャンディーと家まで走りました。今回の散歩はキャンディーにとっていつもと何も変わらないものみたいでしたが私にとっては発見が多く楽しい散歩でした。

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