応募期間

2024年6月1日 (土)~ 9月30日 (月)

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受賞作品一覧
入選
第40回 高校生の部

堀と石垣に囲まれた我が街の自然観察路

中本日和

兵庫県
賢明女子学院高等学校
高校1年生

全体説明

私の住む町の中心には国宝である姫路城がそびえ立っています。その姫路城を囲むようにあるのが3つの堀、内堀、中堀、外堀です。そしてその内側には敵の潜入を阻止する為に建てられた立派な石垣があります。かつてはそのように戦の備えのために作られた物が、長い年月を経てたくさんの動植物の命を育てる場所となっています。
3つの堀の内の外堀は、今では川のように流れがあり、最終的には海へと流れつきます。内堀、中堀はほぼ流れがなく、外堀とは違った生きものを見ることができます。また、桜の散る頃には花びらが水面を覆い尽くし、花びらのじゅうたんの様です。季節によっても違う楽しみを味わうことができるこの観察路が、私はとても好きです。そして市蝶とされているジャコウアゲハや、石垣の上の木など、後世に残していきたい物、ヌートリアやアカミミガメなど共存を考えなければならない物など、これからも課題に取り組んでいきたいです。

観察ポイントごとの説明

<1 シラサギ>
姫路城の周辺や近くの川などにいる姿をよく見かける。また、姫路城は別名「シラサギ城」とも呼ばれている。シラサギが真っ白で羽を広げた時の優美な姿が、姫路城の天守閣と似ている事からそう名付けられたとされる。この観察路を歩きながら、白く美しいシラサギと姫路城の最高のコラボをぜひ見てほしいと思います。

<2 カブトムシ、クワガタ>
 ミヤマクワガタ、ノコギリクワガタ、コクワガタ、二ホンカブトムシなどを弟が目撃している地点です。雨上がりなど樹液のにおいがする時によくいます。

<3 どんぐり>
中堀の内側に立つ石垣にはたくさんの木々が植っています。どんぐりのなる木もたくさんあり、どの木も長い年月を経て立派で大きく育っています。その為1つの木から落ちるどんぐりの数が多く、秋になるとどんぐりの道ができています。様々な形のどんぐりがあり、長細いどんぐり、丸いどんぐり、小さいどんぐりなど、木によって違うどんぐりを見ながら歩くのも楽しいです。

<4 りす>
どんぐりに目を奪われているとき、ふと上の木を見るとまれにりすが木から木へとジャンプしている姿を見ることができます。石垣に植っているたくさんの木々を行ったり来たりしているのがわかります。私の通う学校のそばにも中堀があり石垣があって、大きな木々が並んでいます。そこにもりすがいて、きっと動きが速くて見逃しがちだけど、たくさんいる事がわかります。

<5 桜>
中堀の外側の小道に植えられたたくさんの桜。中堀をほぼ囲っていて、3月の終わりから4月の始めに一斉に咲いた時は圧巻の景色を見ることができます。また風の通り道となっているこの辺りは、散り始めると花弁が舞って幻想的です。そして、流れのほとんどない中堀は、散った花びらをたくさん集め中堀一面が桜の花びらでいっぱいになります。ピンク色のお堀を楽しむことができます。

<6 鯉>
内堀、中堀にたくさんいる鯉。黒色っぽい鯉がほとんどですが、中には白っぽいのや白に赤い模様、赤い鯉などがいます。中堀に数ヶ所、水が流れ込む場所があり、そこにはたくさん集まっています。中には長さ50センチ以上はありそうな鯉がいて、おそらくはるか昔からそこにいる主のような鯉なのでしょう。そんな鯉を探しながら歩くのも楽しいです。

<7 ウマノスズクサ>
中堀の向かいにある、野里小学校にはウマノスズクサが自生するビオトープがあります。つる草で、葉が長細いハート型をしていて、実は馬の首につける鈴に似ているといわれているが、かわいい見た目と違って、有毒で食べれません。また、ジャコウアゲハの幼虫は葉を食べて成長する植物として、野里小学校や姫路市のあちこちで大切に育てられている植物です。

<8 ジャコウアゲハ>
ジャコウアゲハは姫路城の「市蝶」に制定されています。姫路城には揚羽蝶が書かれた瓦が多数あり、城主の家紋が揚羽蝶であるためたくさんあるそうだ。幼虫は有毒なウマノスズクサを食べることから、幼虫成虫共に体内に毒物質を持っていて、鳥などに食べられるのを防いでいるそうだ。私はジャコウアゲハが大好きです。これからもジャコウアゲハの飛ぶ環境を守っていきたいです。

<9 アカミミガメ>
内堀、中堀と流れのゆるやかなところでよく見かけます。石垣の間や堀の中に生えている木の上に居たりします。昔はあまりいなかったが近年増えてきているように思えます。今年6月に条件付特定外来生物に指定され、野外への放出、輸入、販売、購入が禁止されている。生態系への影響を及ぼすことが懸念されている。

<10 ニホンザル>
出会えると、とてもラッキーなレア動物。しかし、木々の間を素早く渡る様子はとてもかっこ良いです。何年か前にこのあたりの石垣の上の木が何本か伐採されてしまいました。理由は定かではありませんが、このあたりの木を寝床にしていた生き物達が苦しんでいないことを願っています。

<11 カモ>
内堀、中堀、そして近くを流れる大野川でも目撃することができます。番で行動しているカモも居ます。桜の花びらが舞う頃に中堀がピンクで染まった中を、カモが優がに泳ぐ姿は、とても美しいです。

<12 ヌートリア>
ヌートリアは姫路城のあちらこちらの池や川で見られますが、特定外来生物として指定されています。猫ぐらいの大きさで、ネズミのような見た目です。内堀、中堀を泳ぎ、どうやら石垣の石と石の間に巣があるようで、中に入っていきます。ただ、農作物を食べられる被害が報告され、捕獲対象となっています。かわいい見た目のこのヌートリアと、なんとか共存できないのかなと考えてしまいます。

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