応募期間

2024年6月1日 (土)~ 9月30日 (月)

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受賞作品一覧
優秀賞
第38回 高校生の部

秋風を感じつつ川の流れを楽しめる遊歩道の観察路

溝口志歩

鹿児島県
鹿児島県立川内高等学校
高校2年生

全体説明

米之津川について調べようと思ったきっかけは、二年前まで行われていた花火大会があり懐かしい場所でもあるからです。今は毎日通学路として車で通過しています。出水市は東に矢筈山、南に紫尾山があります。主流米之津川の流れは、矢筈山系の大口市境付近に源を発し、多くの支流を集めながら米之津川の本流となって不知火海に注いでいて、米之津川は美しく川の水量にも恵まれています。昔から米之津川は、鮎が捕れることで有名です。一年の一つのお祭りのように以前は朝早くから場所を取り、鮎捕りを楽しむ人達の姿を見ることができました。今年はコロナ禍のため、鮎解禁日などなく静かに六月一日が終わりさびしく思っていました。そこで私は母をさそい、米之津川の散策に出かけることにしました。私は母と歩きながらまわりに生えている植物や動物達を観察することで、そこでしか生きられない命があり、私は自然環境を壊さない努力を続ける責任を感じました。

観察ポイントごとの説明

①おおしろからかさたけ Chlorophyllum molybdites Mass.
歩き始めてすぐ入口の所に初めて見るキノコが3つ生えていました。担子菌類マツタケ目ハラタケ科の毒キノコ。有機物の豊富な場所に生える夏のキノコ。かさの直径5~30cm程の中型~大型のキノコで表面の色は白色。幼菌時は淡い褐色をした表皮に包まれる。成長するとともに表皮は裂けてかさの表面にササクレ状になり残る。食用キノコ、カラカサタケと誤って食べないように気をつけたい。

②からむし Boehmeria nivea var. nipononivea
イラクサ科の多年草植物。以前は植物繊維をとるため栽培された。葉の下に実の様なものが下がり、葉はフクラスズメの幼虫が食べていた。葉を手で揺らすと驚き、転がるように下に落ちた。からむしでできた糸は強く100年もつと言われている。吸湿性、放湿性、通年性、保温性に優れているので、からむしでできた服づくりに期待したい。

③くず Pueraria montana var.lobate
マメ科クズ属、つる性の多年草。くずの近くに多種多様な種類の魚がいることを掲げた看板がありました。種類の豊富な魚がいることは、多種多様な種類の植物と、この川で生きる鳥もまた多く見られることに嬉しくなりました。根は葛粉や漢方薬に使われ、薬効は解熱、せきどめ、風邪に効くくずは、まわりの植物をつるでおおってしまうほどの生命力。地域活性の一環としてくずを使った何か考えたいと思いました。

④おおぶたくさ Ambrosaia trifida
北アメリカ原産キク科で一年草。帰化植物でとても増えやすく、おおぶたくさ以外の植物が減るなど生態系の影響や花粉症の原因になるなどの人の生活への影響がおこる心配がある。国から重点対策外来種に指定されている。高さ1~3mになる。この植物は取り除き、できるだけふやさない努力をする必要性を感じました。

⑤るりしじみ Celastrina argiolus
多くのるりしじみちょうが飛んでいた。翅の表面は水色~明るい青紫色。チョウ目でシジミチョウ科。地面で給水したり、花で吸蜜することが多い。繁殖期は年2回で、成虫は4月下旬~7月中旬、第2化は6月中旬~9月中旬に見られる。食草はマメ科植物です。天敵として、さんせいはりばえと幼虫に寄生する蜂の一種が記録されている。

⑥あかめがしわ Mallotus japonicas
トウダイグサ科アカメガシワ属の落葉高木。花には花びらがない。赤い葉や種子は染料に使われる。樹皮に含まれるベニゲニンには、胃酸過多や胃潰瘍、胃炎などに効果的であると言われている。あかめがしわには、ベルゲニンやタンニン、フラボノイドなどの成分が含まれているため胃腸の過度の緊張をおさえて胃粘膜を保護し咳の炎症を鎮める働きがあるそうです。今まで知らなかった効能を知り驚きました。

⑦ひがんばな Lycoris radiate
ひがんばな科ひがんばな属の多年草。中国大陸原産。秋の彼岸の頃に花茎の先に強く反り返った鮮やかな赤い花だけを咲かせ、秋の終わりに葉が伸びて翌年の初夏に枯れる。多年草としては珍しい性質をもっている。地下の鱗茎に強い毒性を有する有毒植物ではあるが、かつて救荒作物として鱗茎のでんぷんを毒ぬきして食べられていた。ひがんばなは、群生して咲いていました。

⑧つゆくさ Commelia communis
ツユクサ科ツユクサ属の一年生植物。地をはって枝分かれする茎の節々から根を出して、他の植物を覆うほどに生育が旺盛である。花の青色の汁を友禅染の下絵書きや和紙の着色に用いた。つゆくさを手でひっぱると節でポッキリ折れる。しかしその節からまた新しい根が生え生命力の強さに驚かされる。

⑨アキアカネ Sympetrum frequens
トンボ科アカネ属に分類されるトンボ。暑さに強くないことから平地と高地の長距離移動を行う。一年でその一生を終える。2000年代以降、地域によって激減している。その一因として疑われているのが、田んぼで使用される農薬と田んぼの耕作面積自体が減少傾向にあることが考えられている。私は農業に興味があるので、農業人口減少は悲しく思う。

⑩こい Cyprinus carpio
こい目こい科。比較的流れが穏やかな川など広く生息する大型の淡水魚。鯉には胃がありません。食道から直接、腸につながっています。そのため、食いだめができず四六時中餌をあさらなくては生命を維持できません。鯉は雑食性で水中にあるものは何でも食べます。鯉の成長は早く、雄は2年、雌は3年で成熟すると言われています。米之津川にいる鯉は、水が流れ落ちる近くを2匹の鯉がゆっくりおよいでいました。

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