応募期間

2024年6月1日 (土)~ 9月30日 (月)

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受賞作品一覧
入選
第33回 高校生の部

書写山円教寺 自然と歴史探訪

福永 早紀

兵庫県
賢明女子学院高等学校
高校1年生

全体説明

ここは、兵庫県姫路市にある標高三百七十一メートルの緑豊な山、書写山。山土には、西国三十三か所の円経寺があります。天台宗のお寺で、西の比叡山とも呼ばれています。

幼い頃や、小・中学校と度々訪れましたが、山の空気と静寂に心が洗われます。まさに聖地です。また、古い建物、重要文化財や、自然観察の参考になり、ウォークラリーにも活用できるようになっています。

樹齢数百年の大木に囲まれ、うっそうと茂った杉木立ちの中には、多くの野鳥や、虫が生活しています。木々や植物も四季折々の様子で私達を迎えてくれます。一年を通して、春には桜並木、夏には緑の葉が生い茂り、秋にはカエデの大木が紅葉し、山を美しく装います。冬にはツバキが咲き、つやつやした葉はひときわきれいです。書写山には、多くの文化財もあり、いろいろな発見があります。古い歴史と文化、これらは私達の宝物です。

観察ポイントごとの説明

ポイント①仁王門

仁王門は、円教寺の正門にあり、二体に仁王像がおかれています。向かって右側が口を開けた「阿」像、左側が「吽」像、「あ、うんの呼吸」をつくり聖域の守りとなっています。江戸時代の初めに造られ、兵庫県と姫路市の文化財に指定されています。

この周辺は、シイ等の自然林になっています。また、後の羽に白色の紋のある大型の黒い形をしたモンキアゲハに出会う事があります。小さくて美しい色をしたキベリハムシも見られます。この虫は、兵庫県の六甲から書写山の間にしかいないめずらしい昆虫です。

ポイント②寿量院

円教寺にある塔頭のひとつで宝町時代の末に建てられました。しかし、建て方は古い形をまね、内部は書院造で床や違い棚があります。また、南側には広縁があり、そこには、中門や蔀戸を備えた、平安時代の貴族の住宅である寝殿造をとり入れています。長い歴史があり、昔にタイムスリップしてしまった様な感じがします。

この周辺をはじめ、いたる所につやのある葉をした、ツバキの木が見られます。冬に咲く花のみつを、小鳥が吸いにやってきます。

ポイント③十妙院

円教寺会館の筋向かいにあり、寿量院とよく似た建て方ですが、中門がなく縁側のひさしに唐破風が取り付けられています。江戸時代初めの建物で、平成四年から七年に大修理が完成しました。部屋のふすま絵は、狩野永納筆であり、みごとなものです。寿量院と共に当時の僧の生活を知るのによい建物です。

ポイント④摩尼殿

斜面に立つ舞台造りの摩尼殿は、京都の清水寺と同じ造りになっています。ここは、円教寺の見どころのひとつとしても有名です。国指定の重要文化財、四天王像もここに安置されています。心の落ち着くところです。

摩尼殿から白山権現に続く道は、木の根が地面に現れ、まるで木の根の階段のようになっています。雨で土が流されて根が出てしまっても、しっかりと根をのばし、幹を支えています。木の生きる力が感じられます。また、この辺りは、カエデの大木が多く見られます。紅葉するカエデをもみじと言います。スギ、モミ、ツガ等の森林は、四季によって大変様子が変わり、夏は自然クーラーと言われる程、涼しいです。

ポイント⑤大講堂

円教寺の本殿にあたる堂で、花山法皇の寄付によって、性空上人が建てました。お経の勉強等の修業をした円教寺で最も重要な所です。今の建物は、室町時代のもので、形が整い、堂々としたお堂です。内部は、内・外陣に区切られ、内陣には釈迦三尊像が安置されています。国重要文化財に指定されており、とても神秘的な空間です。

大講堂から奥の院の辺りでは、ヤマアジサイが夏の暑さを忘れさせてくれます。

ポイント⑥食堂

寝泊りしながら学問や修業をする為のお堂です。古い建物ではめずらしい二階造りで、長さが四十五メートルもあります。室町時代の蔀戸がずらりと並んだ美しいお堂です。

ポイント⑦常行堂

阿弥陀仏の囲りを仏の名を唱えながら、ぐるぐる回って修業するお堂です。北側には大講堂の本尊に雅楽や舞を奉納した舞台があり、二つの屋根の組み合わせが美しい建物です。

大講堂、食堂、常行堂を「三つの堂」といい、広い中庭を持ち、全体で一つのまとまりを持っており、円教寺の中心です。

ポイント⑧開山堂

書写山を開いた性空上人を祭ったお堂です。江戸時代の建物で、軒には、彫刻の名人、左甚五郎の作といわれる力士が大屋根の重みを満身の力で支えています。北西の力士は、重みに堪えきれず逃げ出してしまったそうです。

ポイント⑨講法堂拝殿

昔から、弁慶の学問所として有名です。今の建物は、安土桃山時代のもので、非常に、すっきりしたよい形をしています。

ポイント⑩金剛堂

昔あった普賢院の拝払堂でしたが、まわりの建物がなくなり、ぽつんとひとつだけ建っています。天井には、極楽を思わせる天女が描かれています。室町時代の建物で、棟の鯱瓦は、日本最古のデザインと言われています。

ポイント⑪鐘楼

釣鐘が中につるしてあり、この建物は、鎌倉時代後期の様式で、全体の形がよく整った美しい建物です。

豊な自然の中では、ホトトギス等の野鳥を見ることができたり、西坂では、樹液に集まってくるカブト虫、クワガタを見つける事ができます。長い歴史や文化、豊かな自然との触れ合い、何度も来てみたくなる所です。

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