受賞作品一覧

歴史と自然の町・白国とことこ!観察路

佳作
尾崎 七海
兵庫県
賢明女子学院高等学校
高校1年生
第31回 高校生の部

全体説明

私が住んでいる町、白国は市内でも自然が豊かで山と直接接しています。私がこの土地に引っ越して七年目をむかえようとしており、周りにはたくさんの家が建ち少なからず自然に悪影響を及ぼしています。しかしそんな中でも増位・広峰連山をはじめとする多くの自然は四季折々の姿を見せながら生きています。またこの白国という地名の由来は遠い昔、古代朝鮮の新羅から渡来人が渡って来たとされており、新羅の国つまり「新羅国」から今と「白国」になったと言われています。また白国はお寺や神社が多く、今回の観察路には計七ヶ所も建てられています。その中の一つ、随願寺念仏像堂には芭蕉が詠んだ歌碑と芭蕉の笠が保管されています。

増位山には昭和五十四年からハイキングコースが設置され、私が小さい頃から祖父と登っています。そんな大好きな白国をもっと知ってもらうべく、この観察路をつくりました。

観察ポイントごとの説明

① ここは私の家の裏にある溝です。畑を囲むように作られており、あまり綺麗とは言えませんが、たくさんの生き物がいます。アメリカザリガニやタニシやアメンボ。畑には毎日たくさんのチョウチョ、バッタ、カマキリなどの虫たちがいるので部屋にいるとよく子供たちの元気な声が聞こえます。私が小学校の頃はまだ畑ではなく荒地で、そこで虫とりを楽しんだ後に入る溝の水は冷たく、またそこでも生き物を探し遊んだのが懐かしいです。

② 三分ほど歩いた所に、桜の木が多く植えられている佐伯神社があります。昔、私はスイミングスクールのテストがあると、いつもこの場所に寄ってお参りをしました。ひさしぶりに訪れましたが数年前と変わらぬ姿で受け入れてくれました。そんな佐伯神社は、ムクノキが昭和四十七年に保存樹として指定されています。もう百歳は優に超えていますが、毎年夏になると緑の葉をつけます。これからずっと先も元気でいてほしいです。

③ 佐伯神社から少しだけ歩いた所に大きな池があります。名前は調べても分からなかったのですが、水草が多く生えており、水も澄んでいる池です。その池の横の道路を車で通るときによく釣りをしている人たちを見かけます。残念なことに、観察をするために見に行った日は釣りをしている人は見つからなかったのですが、その変わりに鯉を見つけました。「何も持っていないよ。」と言っても興味深そうに見てきて、申し訳なくなりました。

④ いよいよ増位山です。わくわくしながら登ったのですが、大物に出会うことはできませんでした。なのでこのポイントのイノシシは体験したことです。昔祖父の家から帰宅するために増位山のふもとの道路を父と歩いていると、いきなり目の前を大きな何かが駆け下りていきました。それがイノシシだとわかったのは数秒後で、真っ暗だったのでそのイノシシがどこに行ってしまったかは分かりませんが、本当に驚きました。

⑤ かなり上まで登ると、梅林のような梅の木がたくさん植えてある広場があります。山に登りはじめて休憩をはさみながら四十五分となかなか大変です。そんな人たちのためにか、梅園にはベンチとテーブルだけの簡易な休憩所があります。季節が夏ですので春一番に咲く梅の花は散ってしまっていました。しかし前に春に来たときはピンク色や白色の花が満開でした。今回のリベンジもかねて来年の春にまた来たいです。

⑥ ここは梅林からもう少し登り、辿り着いた隋願寺の本堂から見える放生池です。いつもなら本堂に行くことが目的なので池はながめるだけですが、今回はそうはいきません。プランクトンが多くいそうな池をのぞいてみると、黄色や白、赤や黒い色をした鯉がたくさんいました。赤くて小さい鯉の群れはまるで金魚のようでした。そしてその中に、一匹の亀を見つけました。今までに気付かなかったものを発見出来て大満足です。

⑦ 帰りは疲れてしまっていたのですが、車道に沿って歩いていました。すると、行きにも見た休憩所のエサ入れになんと鳥がとまっていました。家に帰って調べてみると、一年中この山で見られるヒヨドリだと分かったのですが、それよりもハイキングコースだと言っても、エサ入れがあることに驚きました。自然を大切に思っている方のおかげです。

⑧ 下山して家に帰る途中の細道です。本当に細くて、幅は五十センチ程度です。そしてその細道の横には溝があります。①で紹介した家の裏にある溝よりも細く、二十センチほどですが、そこに流れる水はとても澄んでいます。普段なら自転車で通る道をせっかく歩くので溝を観察していると、サワガニを見つけました。

⑨ 細道を抜け、大年社前に来ました。この大年社は二、三年前に鳥居が新しくなりました。しかし「鳥居の上に石を乗せれば幸せになれる」というジンクスのせいで子どもたちがたくさん石を投げ、すごい量の石が鳥居の上に乗っています。そんな大年社の横には多くの桜の木が植えてあり、たくさんの蝉の鳴き声が聞こえます。多分この辺りでは一番大きな「ミーンミン」が聞こえてくる場所でしょう。これが私に最も夏を感じさせます。

⑩ そして最後は家の裏にある田んぼです。この田んぼ道はかつて私が小学生だった頃の通学路でした。毎日授業が終わって友達と別れると走って帰るのです。私は少し汚れた水の中の世界を見ることが大好きでした。しして苗に触れないように注意しながらウヨウヨ泳いでいるカブトエビやカエルを捕まえて観察しました。嬉しさと懐かしさともうあの日常は帰ってこない少しの寂しさを感じて、私の観察路は終了しました。