応募期間

2024年6月1日 (土)~ 9月30日 (月)

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佳作
第31回 高校生の部

都市部に残る貴重な里山「待兼山」に登ろう

海野 秀

大阪府
大阪府立園芸高等学校
高校3年生

全体説明

阪急石橋駅西口を下車して商店街を左に進むと約15分で大阪大学の総合学術博物館に到着する。ここからヒラドツツジが列植されている舗装路を登ると待兼山である。

この山は典型的な里山であるが、こんな都会に里山が残っていることに驚かされる。里山林を構成する樹種は、クヌギ、コナラ、アベマキなどのブナ科樹木である。ただ、この山にはカイズカイブキ、ヒラドツツジ、ヤマモモ、ビワ、カキなどの庭木や果樹も植栽されているのが特徴である。私達ビオトープ部での調査では42種類もの樹木の生息を確認した。

鳥類ではセンダイムシクイ、モズ、キジバト、ツバメ、スズメ、ムクドリ、ヒヨドリ、シジュウカラ、コゲラ、ジョウビタキ、シロハラ、ウグイス、カワラヒバ、メジロ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ホトトギスの生息を確認した。

2年前よりナラ枯れという現象が起こっている。カシノナガキクイムシがブナ科樹木に穿孔することによって水が上がらなくなり枯れてしまう現象をナラ枯れと呼んでいる。ナラ枯れは胸高直径50m以上の大木に発生し、大阪大学ではこれらの被害木を伐採している。

私達ビオトープ部はカシナガを効果的に捕獲する研究を行っている。樹木に濡れタオルやガムテープ、粘着シート(カシナガホイホイ)を巻きつけたり、100円ショップで販売されているハエ取り用の粘着シートを木の枝に吊るしたりしてカシナガを捕獲している。

この貴重な里山を守るため、これからも活動を続けていきたいと思っている。

観察ポイントごとの説明

①カシノキのゴール

樹木を剪定すると切り口を保護するため癒合組織と呼ばれるものが発生する。これが発達してこぶ(ゴール)ができる。この木のゴールはかなり大きい。

②クヌギのどんぐり

9月になると総合学術博物館の前に植えられているクヌギのどんぐりがたくさん落ちる。最初見たときはとてもクヌギとは思えないほど大きな大きさであった。

③ヒラドツツジ

オオムラサキツツジの品種。待兼山のアプローチに列植されている。生垣の高さは2mもある。春にピンクの花が咲きたいへん綺麗である。

④ススキ草原

この場所は昔建物が建っていたそうであるが、更地になるとともにススキが侵入して群落を作った。アレチヌスビトハギ、セイタカアワダチソウがこの中に侵入を試みているが、中々内部に侵入することができない。

⑤カシノナガキクイムシの被害木の切り株

カシノナガキクイムシがコナラ大木に穿孔し、ナラ枯れが発生する。大阪大学によって枯死木は伐採され、切株のみ残っている。この切株にチェーンソーで溝を付け、浸透性殺虫剤を注入している。その上にビニルフィルムで被っている。

⑥コウヤボウキ群落

観察路の途中1カ所にフェンスが立てられているが、施錠されていないので、大学にいくことはできる。このフェンス付近にコウヤボウキが生えている。この花にマサギマダラという蝶が飛来すると言われているが、私達は待兼山ではアサギマダラという蝶が飛来すると言われているが、私達は待兼山ではアサギマダラの飛来を確認していない。

⑦ビワとコウヤボウキ

このビワははたして植栽されたものか種子を撒かれたものかわからないが、毎年結実するようになった。この付近にもコウヤボウキが生えているが、観察路から離れており、見逃してしまう可能性がある。

⑧山頂

クヌギの大木が山頂にもある。この付近にも大木が何本もあったが、ナラ枯れが発生して伐採されてしまった。カシナガを捕獲するため、粘着シートを設置すると最もよく捕獲できる場所である。

⑨ヤマウルシ

山頂付近にヤマウルシの木が数本生えている。葉を触るとかぶれるため、池田人と自然の会によって注意をうながす立て札が付けられている。待兼山にはかなり生えているため、注意が必要である。

⑩竹林

里山の構成種の1つが竹林である。この竹を調べてみると節に1本の線があることからモウソウチクという竹の子をとるための竹であった。

⑪イヌビワ

イヌビワはイシガケチョウの食餌植物である。地空温暖化の影響で豊能町でもイシガケチョウの生息を確認している。そのため待兼山でもイシガケチョウの生息を確認できる可能性がある。

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