応募期間

2024年6月1日 (土)~ 9月30日 (月)

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受賞作品一覧
入選
第32回 高校生の部

思い出の冒険道

小池 菜月

愛知県
愛知県立岡崎高等学校
高校2年生

全体説明

私の家のすぐ近くには「竹村新池公園」という公園がある。大きな池があり、小川があり、林があるこの公園は、まさに生き物の宝庫だ。また、生き物だけでなく、ウォーキングをする人、釣りをする人、家族連れなど、人が集まる場所でもある。幼いころ私は、毎日のようにこの新池を冒険していたものである。

今回観察のために久々に訪れたのだが、昔の新池と変わらない生き物や自然に触れ合うことができて内心安堵した。

しかし、昔と比べ新池を訪れている人が少なくなった気がした。先ほど述べたような人々がまばらに感じられたのだ。以前は人と自然が一体化した公園という印象だったが、今は自然だけが取り残された、そんな印象を受けた。自然を保ちつづけるのも課題だと思うが、人々の心が自然から離れつつあるのも一つの問題だと感じた。

観察ポイントごとの説明

エリア① 小さな草花と大きな樹木

ここは、一面芝生になっており、小さな草花が多く生息するエリアだ。シロツメクサやカラスノエンドウが観察できた。しかし、これらはエリア⑦で観察されたものより背丈が低かった。エリア⑦と違い、エリア①は、ソメイヨシノなど背が高い気がたくさんあるので、葉に遮ぎられて地面まで日が届きにくくなっている。このことが原因であると考えた。

 

エリア② 浅瀬

エリア⑩の小川から池へと水が流れてくるところだ。他の場所より水深が浅いので、カエルをたくさん見かけた。他にも、川岸や小川に群生するというジュズダマを発見した。実が白くなると、中の筋を抜いて、そこに糸を通し、文字通り「数珠」を作ることができる植物だ。今回観察をした時は実が黒く、まだ数珠をつくれない状態だったが、幼い時にジュズダマをつくった記憶がふとよみがえり、なつかしい気持ちになった。

 

エリア③ 魚

このエリアの池は浅瀬で、奥に行くにつれ深くなっていく。地面は砂利になっており、隙間から草花が顔を覗かせていた。釣りをしていた方に魚を見せていただき、フナを観察することができた。昔から新池はフナがたくさん生息しているので、変わらぬ姿を見ることができてよかった。他にもコイが生息しているはずだが、今回は観察することができなかったので残念だった。

 

エリア④ 石垣周辺

このエリアも釣りをする人でいつもにぎわっている。そんな釣人のエサのパンをもらいにカワラバトが群れていた。また、石垣の下の方では、目の横の赤色の模様が特徴である、外来種のアカミミガメが日なたぼっこをしていた。外来種はやはり、生態系によくないのだろう。しかし今まで見ていたアカミミガメがいなくなってしまうのは悲しい。外来種の問題は根深いところにあり、解決が難しいことだと思う。

 

エリア⑤ 橋

新池は3つの橋がかかっているが、エリア⑤はその中でも一番長い橋だ。橋の下には、種類は分からないが、カエルの卵がたくさんあるのを見つけた。本当に膨大な量の卵だったので少し気味が悪かった。また、胴が青色のシオカラトンボ、赤色で小さなアキアカネなど、様々な種類のトンボを観察することができた。中でも一番多く見られたのはギンヤンマだ。交尾をしながら飛んでいるものも観察できた。

 

エリア⑥

エリア⑤の橋へ向かわず、そのまま道なりに進むと、低木が群生するエリアに来る。これはアベリアという花で、とても甘く良い香りがした。これに誘われたのか、ミツバチやクマバチも観察することができた。また、近くの木にはアブラゼミ、クマゼミ、ニイニイゼミが、元気に鳴いていた。とくにアブラゼミの数が多く、声はうるさいほどであった。また、ニイニイゼミのぬけがらも木の根元に発見した。

 

エリア⑦

エリア①とは違い、ここは高い樹木がないので、シロツメクサやカラスノエンドウなどが伸び伸びと育っていた。草原に踏み入るとオンブバッタがオスをおんぶした状態で飛んでいくのが見えた。そのようなバッタを食べるハラビロカマキリも発見することができた。ハラビロカマキリにカメラを向けると、サッとカマを上げて臨戦態勢を取ったので、とてもかわいらしかった。

 

エリア⑧ 竹林

池に面している道ぞいにはたくさんの竹が生えており、神秘的な雰囲気を醸し出していた。中に入って詳しく観察したかったが、ハブに注意という看板が出ていたのでやめておいた。このあたりは春先になると、タケノコが顔を出すので、タケノコ狩りをする人もいるのだ。竹は育ちがとても早いので、きっと整備をする人がいるのだろう。このような環境を守りつづけている人に感謝をしたいと思った。

 

エリア⑨ 雑木林

ここは、たくさんのコナラやクヌギの木からなる雑木林だ。ここへ入るための小道もある。コナラの木を観察している時、一緒に観察をしていた弟が、なんとカブトムシを探しにこの雑木林に入ったが、実際に見つけることができたのはこれが初めてだったので、弟と一緒に喜んだ。このカブトムシは、今でも家で大切に飼われている。

 

エリア⑩ せせらぎの川

ここには、池とは別で小川が流れている。岩も水草もたくさんあるので、小さな生物のとても良い住みかだ。アメリカザリガニの赤い色が遠目からでもしっかり確認できた。また川と池との境では、小さな貝を発見した。調べると、ニホンシジミという名だった。さらにアジアイトトンボが観察できた。これはエリア⑤では観察できなかった種類だ。同じトンボでも、種類によって生息地が違うのだと学ぶことができた。

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