私たちを見守る生き物たち ~創価学園・哲学者の道~
創価中学校 生物部(代表:山根藍花)
東京都
創価中学校
中学校3年生
全体説明
周辺の学校の生徒達や、近隣の方たちが何気なく歩く、小平市にある哲学者の道。私達、創価学園の生徒も毎日利用しています。朝は急いでいて、帰りは疲れていて、中々気づかないけれど、実は生き物や植物がいっぱい!玉川上水が中央を流れ、その両脇には歩道があり、周囲には鬱蒼と木が生え、多くの生き物の住処となっています。耳をすませば春や秋はカラスをはじめとする鳥の声が聞こえ、夏には、数種類のセミの音が聞こえる都内でも有数の自然豊かな道です。今年の夏、調査を行った1.5kmほど続く道には、カラスやスズメ、アブラゼミなど、都会でもおなじみの生き物や、東京では準絶滅危惧種とされているヒグラシや、絶滅危惧Ⅱ類とされているヤマトタマムシに出会うこともできました。しかも、都心から一時間もかからないので気軽に遊びに行くことができます。あなたも今度、哲学者の道へ散策にいらしてみませんか?
観察ポイントごとの説明
<ポイント1 キジハト>
キジハトはいたる場所にいて木が多いところによく見られます。また、木の上や、道の上にも現れ、玉川上水の木々の上から時々鳴き声を聴かせてくれます。よく見ると、虹彩や羽の一部がオレンジ色でとてもきれいです。キジバトを道で見かけたときは、人馴れしていることもあるので、そっと近づいてみましょう。
<ポイント2 ジョウロウグモ>
ジョウロウグモは、メスは17mm~30mm、オスは6mm~13mmで、北海道以外の広域に生息しています。哲学者の道に広範囲に生息しており、確認できたジョウロウグモの大きさは中型ですが、巣の大きさはやや小さめです。玉川上水の北側は4m、南側は2m程、道幅が取れているので道を遮るように蜘蛛の巣を張ることはありませんが、道幅に巣を張っていることもあるので哲学者の道では比較的簡単に出会うことができます。
<ポイント3 オンブバッタ>
オンブバッタはその名の通り、バッタがバッタをおんぶしています。しかし、親が子どもをおんぶしているのではなく、メスがオスをおんぶしています。体長は、オスが20cm~25cm、メスが40cm~42cmと、メスがオスの二倍ほどの大きさです。玉川上水の茂みにたたずんでいることがあるので、よく観察しながら歩いてみましょう。黄緑で草によくまぎれています。
<ポイント4 スズメ>
スズメは、街の電線の上などによく生息していますが、哲学者の道のなかにも住んでいます。近年、スズメの巣が作れるような場所が減少していることに伴い、個体数も減少しています。以前より見かけにくくなったスズメを、哲学者の道でも見ることができます。スズメは小さく、丸っこくてとても可愛らしい見た目をしているので鳥初心者の方も楽しみやすい鳥です。ぜひ探してみてください。
<ポイント5 クロアゲハ>
クロアゲハは主に木が多く生えている場所に生息しています。日本においては本州の山地によくいるそうです。その名の通り、チョウの分類の中ではアゲハチョウの仲間となっています。体長は4.5~7.0cm程、羽は表裏とも黒色で赤い斑点も見られます。ちなみに、オスには白い帯があるそうです。4月~8月ごろまでに2~4回ほど確認されたので気になった人は探してみるといいかもしれません。
<ポイント6 シジミチョウ>
シジミチョウは、その名の通り羽がしじみ貝の模様に似ているチョウです。シジミチョウという種類だと思っている人も多いようですが、本当はシジミチョウという科があって、その中にベニシジミやツバメシジミなどという種があります。この絵に描いたのはヤマトシジミという種類のシジミチョウです。日本では北海道以外の地域に広く分布しているので、ぜひ探してみてください。
<ポイント7 オオシオカラトンボ>
オオシオカラトンボは、比較的どこでも見ることのできるトンボで、群青色の体が特徴ですが、未成熟のオスや、メスすべては実はくすんだ黄色をしています。よく見かけるのは群青色のオスの個体ですが、水辺に止まっていることがあるのでぜひ探してみてください。玉川上水は、水の流れがあるので、トンボの良い生息環境となっています。他の種類のトンボも見られるので探索しがいがあります。
<ポイント8 ニホントカゲ>
ニホントカゲは、本来、西日本に多く分布している生物ですが、温暖化の影響か、東京都にある玉川上水でも見ることができます。背中には黄色い筋が通っていて、尾にかけて青い色がついています。日当たりの良い場所を好んでよく出てくるので、昼間のよく日が当たるしげみで見かけることがあります。体長は160~250mm。細長くて結構目立つので、よく観察しながら歩いてみてください。
<ポイント9 ミスジマイマイ>
ミスジマイマイは、雨の日や、湿った雨上がりによく玉川上水で見ることができます。玉川上水にいるものは全体的に大きめなので見つけやすいです。木の幹やコンクリートの上によく付着しています。カタツムリは、殻の生成のためにカルシウムが必要で、コンクリートを舐めてカルシウムを摂取しています。ぬめぬめしていて気持ち悪いと思っている方もいるかも知れませんが、意外とかわいいのでぜひ観察してみて下さい。
<ポイント10 ハシボソカラス>
ハシボソカラスは日本全国の平地に生息していて、多くの人が見慣れている鳥です。哲学者の道がある東京都小平市は高低差が無いため、多くのカラスは平地を好むハシボソカラスです。この道は木に覆われているので、カラスの姿を見るのは難しいですが、午後から夕方にかけて、カラスの「ガーガー」という鳴き声を聞くことができます。
<ポイント11 アズマヒキガエル>
アズマヒキガエルは4.3~16.2cmくらいで自然林や都市公園など様々な環境で生息します。生息地は北海道を除く東日本、島根半島〜鳥取県、近畿地方北部、志摩半島〜紀伊半島中部、中部地方以東で、深い池を好みます。校内では木が抜けた後の穴を巣にして生息していました。また、昨年や今年の産卵時期には校内の「一滴の池」に大集結し、みんなを驚かせました。ちなみに鳴き声は「グワグワグワ」という感じです。
<ポイント12 ニホンカナヘビ>
ニホンカナヘビはしげみなどの隠れられるものが多くある場所によくいます。また、乾燥に弱いため、湿った日陰などにいることが多いです。哲学者の道は湿っている場所が多いため、広い範囲に生息しています。トカゲのように尻尾を切って逃げることがあるので、時々尻尾が切れて再生中の個体をみられることがあります。ちなみに、トカゲは舌の先が1つで体に光沢があり、カナヘビは舌先が2つで体の表面がカサカサしています。
<ポイント13 玉川上水南側>
玉川上水の南側の道は道幅が狭いものの、道路と隣接しています。北側の道より人通りが少なめで、ゆったりと歩くことができ、また、種類の確認はできなかったものの、蝶の仲間やシラサギのような、大型の鳥も見ることができます。しかし、スズメバチの巣が複数個所あるため散策には注意が必要です。