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受賞作品一覧
優秀賞
第36回 団体の部

魅力あふれる標高のキノコ達

地域環境系列キノコ班(代表:原田将嘉)

北海道
北海道標茶高等学校
高校3年生

全体説明

私たちが通う標茶高校は日本一の敷地面積を有する高校で、敷地の中に軍馬山という身近で自然豊かな森があります。私たちはこの軍馬山の山道に発生するキノコを、二年続けて調査しました。すると軍馬山に生息するキノコは形状や色の多様性があることが分かりました。その興味深いキノコ達を紹介します。
まず学校を出発して⑪に来ると目の前に大型のキノコが「いってらっしゃい」と顔を出していることがあるので、揚々とした気分で山へ向かうことができます。山へ入って早々坂が多い①を通過して、歩きながらキノコを探すと道端にたくさんのキノコが見えます。③を突き当たり左に曲がると森が一層深くなり山としての雰囲気を醸し出します。帰り道の⑭あたりまでくると下り坂も終盤。楽しい時間も終わってしまうと感じますが、そうはさせないとたくさんのキノコ達が迎えてくれます。そうして⑪まで戻ってくると、「おかえり」とキノコが迎えてくれるのです。

観察ポイントごとの説明

観察ポイント⑪ さあキノコ百景の始まりだ!
軍馬山山道にはいくつかの出発地点がありますが、私たちは研究活動や放課後に学校から飛び出して、一直線に山へ向かいます。その途中にはカラマツ、トドマツなどの針葉樹や、エゾヤマザクラ、ダケカンバなどの広葉樹も見られます。そのため、地図にあるハナビラタケのようなキノコがあると、山へ入る私たちを送り出してくれるように思えるのです。楽しい時間が終わり、下山した私たちを再び迎えてくれるのもここにあるキノコ達。帰りは行きとは逆の方向から見るため、また新しいキノコを見つけることもできます。なかには草刈り機で頭を半分取られてしまったキノコも… しかし負けるものかと言わんばかりに、別の場所から顔を出し始めます。キノコの強い生命力が感じられる場所です。

観察ポイント① 心臓破りの坂の先には
山道に入り、急な山坂を乗り越えた先にあったのは、遠くからこちらを睨んできているヒラタケでした。ハリギリに発生していたヒラタケは、樹上までずらっと発生しており、まるでこちらに自分の存在を示すかのように、笹と共になびいていました。他にも、足元に小さなお皿が!?と思ったほど綺麗なオシロイシメジや、小さいけれど染物のように蒼いロクショウグサレキンなどが見られた地点です。

観察ポイント② 森林の王と家来
上り坂と左カーブで先が見えない不安も抱く地点。不安と冒険心は、この地点が最も大きく感じられます。到着すると左側にはトドマツ林、右側にはミズナラ林が広がり「我々が森林の王である」と言わんばかりの堂々とした樹木が生い茂ります。そのトドマツの伐採後には、オニナラタケという世界最大の生物であり強力なキノコが生えていました。
「王の最後は私に任せてください」と、トドマツを分解する従順な家来なのかもしれません。

観察ポイント⑫ フキの秘境
左側にはなぜかアキタブキの地帯が現れます。何かあるのかとフキに身を沈めると、真っ白な卵… いや、違います。視界を全体に向けると、その美しさと毒性から死の天使と呼ばれる共生菌のドクツルタケが堂々と立っていました。我々を待ちわびていたようです。どうやらトドマツと共生して、自身が大きくなれたようです。しかしその白さは一体どこから来たのかと問いかけましたが、ただ寡黙に佇んでいただけでした。

観察ポイント④ 白は白でも違う白
白は白でもドクツルタケとは違った白があります。光沢があり、真っ白な皮がはがれるダケカンバの幼木林。風でなびく左右の幼木の白を眺め、視界の端には… 白黒?いや黒白? そこにあったのは、栄養が抜かれ黒くなってしまったベニタケの仲間と、その栄養で大きくなる、淡白色のヤグラタケでした。生き物の白には、奥深さを感じます。その中でもキノコは格別に「色」の多様性が見られました。

観察ポイント⑨ 真の王者は誰なのだろうか
白の林からだんだんとトドマツが劣勢になり、ミズナラが多くみられるようになります。すると山道に邪魔な枝を切り落とした跡が見られるようになり、たくさんのキノコが見つかります。左側ではゴムタケという、本物のゴムのようにぶよぶよしているキノコが皮と皮の間に沢山出ていました。こんなに小さくても、集まれば森の王の最後を看取ることができると語っているようです。

観察ポイント③ 真の王者の上位互換
しかし右側には数は少ないけれどゴムタケより大きいオオゴムタケが見られます。同じくミズナラの倒木を分解しており、ゴムタケと違うのは分解した倒木を真っ黒に染めてしまうことです。そう、真の王者を後目において。このように個性を出すことで、キノコになにか徳があるのかもしれません。

観察ポイント⑩ THEきのこ
森の王者が住まう森を通り抜けると、今度は鬱蒼とした針広混交林が広がってきた頃、分岐を曲がらず直進します。「お~!!」と、そこにいた全員歓声を上げてしまうほどです。なにせ黄金色でまさにキノコの中のキノコのような形をした、コガネヤマドリが出ていたのですから。見て触って伝わる重量感、その形… 軍馬山でこんなに美しいものが見られるとは思いもよらなかったからです。軍馬山に来たら見ておいて損はないでしょう。

観察ポイント⑤ 軍馬山のお星さま
「こんなところに、流れ星だ」落ちていたのは、ツチグリ。湿度によって星形に開きます。真ん中にはちょこんと、お団子が乗っています。しかもこの地点前後ではかなりの距離に渡ってその流れ星が見られます。軍馬山では、キノコのおかげで昼間に流れ星を見ることができます。ここまでで大体半分の地点、キノコは人間をいったいどれだけ楽しませてくれるのでしょうか。

観察ポイント⑥ 地味にジメジメ
このあたりを歩いていて思うのは、森が深いせいか、目立つキノコがない、ということです。たまに見つけられることもありますが、なかなか魅力的といえるキノコが無いように思えました。しかし足元をよく見ると、小さなキノコがたくさんあるのです。その名もアシナガダケ。柄が長いことが特徴で、中には強烈な薬品臭を放つものもいます。色合いは地味ですが、十分な魅力のあるキノコと言えるでしょう。

観察ポイント⑦ 砂?ホコリ?いいえ胞子です
道の分岐点が3つあり、少し迷いそうになるこのポイント。過去の先輩方が作ってくれた山道案内の看板があるお陰で、迷わずに進むことができます。その看板の下を見ると茶色いほこりが舞っていました。注意深く見ると、それはホコリタケと言うキノコが風で胞子を飛ばしている瞬間で、まさにほこりのように見えて感動しました。

観察ポイント⑧ 朽ちた倒木に立つ
下り坂に入り、足が突っ張られないように歩くと、右側には苔の生えている材木が積み重なっています。その上に何かが伸びています。それは、キイロスッポンタケでした。強烈なにおいでハエを寄せ付け、ハエに胞子を付着させ運ばせるようです。その他にも材木にはコバリナラタケや、タマウラベニタケが見られてキノコの種類の豊富さから、分解段階が終盤に差し掛かっていると感じられる場所です。因みにネズミのお家でもあります。

観察ポイント⑭ 白い奴に硬い奴
光沢のある白肌を持つ樹木が倒れていました。そう、ダケカンバです。そこには灰色のこぶのようなものがついており、よく見るとツリガネタケでした。キノコと分かった瞬間持ち帰ろうとナイフを入れてみましたが、歯が立ちません。驚いたのはダケカンバが柔くなっており、反対にツリガネタケの方が硬いことでした。このように樹木の強さを分解していき土に還していくのだな、と思えるキノコでした。

観察ポイント⑬ 最後は瓦
約2kmのキノコ百景の終わりは美しいキノコで締めくくられます。目の前にルートの終点が見えるところで、黒くて薄いキノコが左側に見えました。カワラタケというキノコです。立ち枯れ木にびっしりと生える様子はまさに北海道で見られない黒い瓦のようです。これにてキノコ百景は終わりを迎えます。

 

チーム代表: 原田将嘉(3年)キノコの調査、地図水彩画担当

深山玄斗紀(3年)キノコの調査、説明文担当

菊地瑛輝(3年)キノコの調査、地図文字担当

岩崎翔也(3年)キノコの調査、地図文字担当

村山俊騎(3年)キノコの調査

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