応募期間

2024年6月1日 (土)~ 9月30日 (月)

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受賞作品一覧
優秀賞
第36回 団体の部

天神谷津 ホタル舞うふるさと

科学部(代表:加藤あい)

千葉県
八街市立八街北中学校
中学校3年生

全体説明

私たち八街北中学校科学部は、NPO富里のホタルの方々と、天神谷津でヘイケボタルを指標とした自然保護活動を行っています。天津谷津ではヘイケボタルが自然発生しています。これは豊かな里山とそれにかかわる人々が長い間積み上げた営みによってもたらされたものです。私たちは日本で数少ない中学生のホタルガイドとして、七月半ばから八月上旬まで一般の方をご案内しています。天津谷津にいるのはヘイケボタルだけではありません。千葉県の絶滅危惧種になっているニホンアカガエル、アマガエル、ツチガエル、シュレーゲルアオガエルといった両生類、二メートルはあろうかという天津谷津の主・青大将などの爬虫類、昆虫も数えられないくらい多くの種類がいます。このような環境を私たちの宝として、守っていきたいと考えています。
今回は部員が、それぞれのお気に入りを紹介します。

観察ポイントごとの説明

観察ポイント①  谷津(やつ)。谷戸(やど)とも呼ばれます。千葉県独特の地形です。昔、氷期と間氷期のサイクルにより波に侵食され入江となった部分が、大地の隆起によって陸地となり、雨や風によってなだらかな丘に囲まれた地形となったものです。湧水が多く、川が近くになくても田んぼを作ることができるので、古くから稲作が営まれてきました。天津谷津もその一つです。

観察ポイント②  ホタルの天敵・アメリカザリガニ。科学部に入部した新入生はまずザリガニの捕まえ方を先輩から教えてもらいます。さすがに7年間も駆除を続けたので数は減ってきましたが、なかなか手ごわいです。捕まえたザリガニは幼稚園訪問の時のイベントなどに使います。ザリガニは夜行性なので一番捕まえやすいのは、夜です。ホタルガイドの傍ら、お客様がいないときはもっぱらザリガニ取りです。

観察ポイント③  谷津の田んぼ。もちろん無農薬です。天津谷津で行われる「里やま塾」という年数回あるイベントで、お客様の田植えを手伝ったり、刈り取った稲のおだがけを手伝ったりします。「おだがけ」とは千葉の言葉で、稲を稲木にかけて天日干しすることです。稲束を数本のわらを使って縛ってまとめる方法もこの時教えていただきます。谷津田で取れたお米はとてもおいしいですよ。

観察ポイント④  水上のダンサー、アメンボです。こう見えてカメムシの仲間です。だからカメムシのように臭腺がありますが、カメムシのように臭いにおいではなく、飴のような甘いにおいがするので、アメンボという名前がついたと言われています。足の裏に細かい毛がたくさん生えていて、そこへ体内から油がしみだして水をはじくおかげで、水の上に浮くことができます。ダンサーでもあり、忍者でもありますね。

観察ポイント⑤  天津谷津の主、青大将です。私はやぶを這っているのをちらっとしか見ていませんが、目撃情報によると二メートルはあるだろうと言われています。毒はないので、怖がる必要はありませんが、急に出てきたらちょっと・・・ NPOの方が、ヘビを見ると金運が上がるよとおっしゃっていたので、出てきてほしいような、あまり出てきてほしくないような・・・

観察ポイント⑥  アマガエルはもっともよく見かけるカエルです。目の上のアイシャドーのような模様が特徴です。ケロケロ・ゲロゲロと、一般的にカエルの鳴き声と言われているのがアマガエルです。夜の大合唱もすごいですが、昼間、杭の上などでひっそりと谷津田を眺めている姿もかわいいです。緑色が普通ですが、環境によっては茶色、灰色もいます。幻の真っ青なアマガエルに出会いたいです。

観察ポイント⑦  ニホンアカガエルは、千葉県絶滅危惧種Ⅰ類のひとつです。大型のカエルでお腹や太ももが赤くなるのでその名があります。昔は食用にされていたそうです。このニホンアカガエルが天津谷津にはたくさんいます。まだ寒い二月に産卵をするのですが、百個以上の卵の塊(卵塊)が、今年は二百個ほど確認されました。ということは、雌雄合わせて最低四百匹はいるのかな?

観察ポイント⑧  たま~に見かけるツチガエルは灰色っぽい茶色でイボイボがあり、鳴き声も「ゲーロゲーロ」とだみ声です。イケメンというよりはしぶーいおじさん。もっとみんなの前に出てきてください。

観察ポイント⑨  湧水の流れの中には、サワガニ、マシジミ、ドジョウ、ホタルの幼虫のエサとなるカワニナなどがいます。湧水は昨日今日降った雨水が流れているのではありません。降った雨水は、まず地下水となります。地下水の流れはとても遅いので、湧き出た水は何十年も前に降った雨水だと言われています。不思議です。

観察ポイント⑩  竹林。イベントの時にはここから切り出した竹でご飯を炊いて、竹ご飯を作ったり、秘密基地づくりの骨組みにしたり、イベントのお客様と竹灯籠を作ったりします。竹灯籠づくりでは、のこぎりや電動ドリルも使います。お客様に教えられるように工具の使い方は事前に私たちも練習します。でき上った竹灯籠にろうそくの火をともすと、暗闇に輝き、水面にも映ってとてもすてきです。

観察ポイント⑪  シュレーゲルアオガエルは、アマガエルとよく似ていますが、アマガエルにあるアイシャドーのような目の上の模様がありません。体もちょっとごっつい感じです。白目の部分が金色っぽいところが、かっこいいです。鳴き声は「コロコロ」とアマガエルよりも甲高い声で鳴きます。シュレーゲルアオガエルは、千葉県の準絶滅危惧種です。

観察ポイント⑫  天津谷津では、ヘイケボタルが自然発生しています。天津谷津周辺ではヘイケボタルの数が減っています。一匹が千個の卵を産むゲンジボタルと違い、ヘイケボタルは百個ほどしか産まないことも原因の一つですが、川辺に生息するゲンジボタルと違い、ヘイケボタルは里の人々と共に田んぼで生きています。多くの田んぼが休耕田になっていく中、ヘイケボタルは減少しているのです。八街北中学校科学部は、NPO富里のホタルの方々と一緒にヘイケボタルに適した環境とはどのようなものかを考えながら環境整備を進めています。初めはゲンジボタルとヘイケボタルの違いも判りませんでしたが、先輩方と一緒に活動しながら、貴重な里山の環境を守る重要性を学びました。さて、以前指導に来てくださった千葉県立中央博物館の倉西先生の話だと、ホタルには毒があるそうです。強い毒ではないけれど、食べると苦いそうです。試してみたことはありません。

 

チーム代表: 加藤あい(3年)
高山莉来(3年) 観察ポイント①
今西大翔(2年) 観察ポイント②
大友真輝(2年) 観察ポイント③
宮尾明樹(2年) 観察ポイント④
木村翔輝(1年) 観察ポイント⑤
金野祐樹(1年) 観察ポイント⑥
會嶋紀磨(2年) 観察ポイント⑦
鈴木悠斗(1年) 観察ポイント⑧
細谷遥人(1年) 観察ポイント⑨
木村凱斗(3年) 観察ポイント⑩
加藤万実(1年) 観察ポイント⑪ ポスター作成
柏木美優(3年) 観察ポイント⑫

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