応募期間

2024年6月1日 (土)~ 9月30日 (月)

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受賞作品一覧
優秀賞
第29回 小学生の部

発見がいっぱい! 天拝山 小川と林の散歩道

渡邉英

福岡県
筑紫野市立天拝小学校
小学校5年生

全体説明

家から三分で登山口に到着!千年前には菅原道真が天を拝んだという天拝山は、ぼくの大好きな遊び場であり、歩くたびにワクワクする発見がいっぱいつまった学校なのだ。

 毎週、日曜に早起きしておにぎりを持ってお父さんと散歩に出かけるのがぼくのお気に入り。源流コースは、足を下ろす場所に迷ってしまうほどたくさんのサワガニや珍しいオレンジ色のキノコ、青い宝石のようなオオルリなどに次々と出会える生き物たちの楽園だ。運がよければクヌギの割れめでこっそり食事中のカブトムシにも会えたりする。

 三年前の九州豪雨で、天拝山も山頂からシャクナゲの谷にかけて太規模なガケ崩れが起きた。生き物たちは大丈夫かな、と心配したが、半年後くらいから思ったよりも多く姿を見せてくれるようになった。何てたくましいんだろう。ぼくも負けていられないな。歩くたびにぼくをはげましてくれる、最高の散歩コースだ。

観察ポイントごとの説明

ポイント1

 天拝坂東公園から登山口を少し登った所までは、ホタルが多く見られる。ホタルはきれいな水を好むが、人家の近くで水に適度な養分がないとエサのカワニナがいないので生きられないそうだ。ぼくたち人間が自然と仲良くつきあって、いつまでもホタルが住める川を守りたいと思う。ここは小学生の遊び場だ。いつもぼくも友達とピンピンはねるスジエビやアメンボウ、めだかを捕っている。実は、ぼくたちの秘みつ基地がある。

 

ポイント2

 登山口から人一人がやっと通れるゆるやかな山道を進むと、地蔵川から分かれて流れてきた小さな流れとぶつかる。日光が差し込み、杉林の中は明るい。ぬれた落葉や石の間からサワガニがうじゃうじゃはい出てくる。流れの中をのぞくと、クロモが気持ちよさそうにゆれていた。道ばたには茎が五十センチから八十センチにもなるミズセキが並んでいる。お祝い袋のまん中のヒモかざりから名付けられたそう。なるほど、まっすぐで長い茎だ。

 

ポイント3

 だんだん坂道が急になり、林がうす暗い。地蔵川の中には岩がゴロゴロ転がり、周辺にはシダ植物が多く見られる。中でもクジャクの羽のように葉が扇形に広がるクジャクシダが並んでいる様子は、はなやかできれいだ。「ヒー、リーリー。」近くで、オオルリが鳴いている。いつか青い羽根のオオルリが飛んでいる昆虫を捕るところを見てみたいな。秋が深まり、ネコノメソウのネコノメのような実やキッコウハグマの花に会うのが楽しみだ。

 

ポイント4

 山道がしめってきて、土のにおいが気持ちいい。地蔵川から分かれた三つ目の流れは一番大きく、二メートルくらいの丸太橋がある。川沿いはまるでミニチュアの森のように様々なコケが生えていて、しばらく顔を近づけて眺めていると不思議な気分。オレンジ色や肌色の丸いキノコが多く見られる。川の中は水草がいっぱいだ。くぬぎ林が暗くしげり、夏はお父さんと夕方しかけたトラップに集まるカブトムシを見にくるのが何よりの楽しみ。

 

ポイント5

 急な山道を登ると、急にパァッと明るい竹林に出る。足下にはササにそっくりなササクサがびっしり生えている。尾根道は平らでトベラが自生しているが、切ると樹液がくさいことから魔よけとして扉にさしたという。真っ赤な実から名前が付いたサンゴジュも多く見られる。いよいよ山頂。毎朝二十人くらいの人が天拝山上社に参りラジオ体操をしている。今日はお父さんとぼくも仲間入り。朝の空気はとびきりおいしいな。

 

ポイント6

 三百五十四段の階段を下り、神さまが投げた大岩がまつられた荒穂神社へ。コナラやクヌギの林が続く。三年前、ここで拾ったドングリを庭で育てて観察中。今年は百三十センチを超えた。冬、「チッ。チッ。」と鳴き声がしたらめったに会えないクロジが枝先にいた。夏によく見かけるキビタキは、胸がとても美しいオレンジ色だ。「ピヨピ、ピッピキピッピキピッ。」鳴き声もぼくは大好きだ。

 

ポイント7

 ゆるやかな登山道を下ってくると、シャクナゲの谷がある。五月頃は、うすピンク色や白色のフワッとした花をいっぱい咲かせて、にぎやかになる。

 

ポイント8

 登山口を出ると、千三百年前に建てられ、九州で一番古いといわれる武蔵寺がある。門のそばのクスの木は、圧倒される太さと高さでぼくたちを迎えてくれる。境台には、樹齢千三百年といわれる「長者の藤」があり、四月の終わりごろには長い花房を垂らして、うす紫色の花が風にゆれている。フジにはお腹にオレンジ色のスジがあるクマバチが集まり羽音がうるさいくらいだ。

 

ポイント9

 武蔵寺前の道を左に曲がって大門地区へ。古い家並が続く。庭に放し飼いにされたニワトリがにぎやかだ。ぼくが住む地区にはため池が多いが、ここにも大きなため池がある。水の中から生えているガマの穂を指でつぶしてみると、グシャッというつぶれてタンポポのような綿毛が現れる。天気のいい日はヌマガメがプクッと顔を出している。

 

ポイント10

田んぼの間の坂道を下ると、ヤブツバキのトンネルがある。二月になると、散歩道の一番の楽しみだが、ぼくは落ちた花を選んで、ミツを吸うのが楽しみなのだ。田んぼを抜けると地蔵川にぶつかり、ここが散歩道のゴール地点だ。六月の田植え頃、何度もシマヘビに出会ったポイントだ。首をまっすぐ伸ばして、体は横にくねらせて川を泳いでくるシマヘビには、何度出会ってもドキッとする。

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