受賞作品一覧

ぼくのフィールドドキドキ、ワクワク夏の観察ロード パート2

佳作
嶌崎崇
和歌山県
那智勝浦町立那智中学校
中学校1年生
第27回 中学生の部

全体説明

 僕は、2008年に第25回自然観察路コンクールに「僕のフィールドドキドキ、ワクワク夏の観察ロード」で応募して小学生の部で佳作賞を頂きました。2009年の第26回自然観察路コンクールでは、2008年度と同じ場所の2年後の追跡調査をしてみることにした。追跡調査をすることで、僕の周りの自然がどのように変わっているかいないのかを知りたいと思ったからだ。

 

 中学生になった僕は、クラブ活動や勉強で小学校のように自由な時間は少なくなったけれど、いつもの年のように夏休には、カブトムシやクワガタムシを取りに僕の秘密のフィールドへ毎日のように出かけています。僕のフィールドの近くには、高速道路ができ自然環境も変わってきています。2年前には居た動植物は、どうなったのか、また、2年前にはいなかった動植物が見られるようになっているのかなどに気をつけて記録しておこうと思いました。田んぼだったところは、埋め立てられて小さな畑になり、おじさんが鶏を飼っていたり、土木作業の事務所だったところは、取り壊されてコンクリートや建設資材の山となってしまったところもあります。でもその中に、キリギリスやコオロギが鳴いている声を聞くこともできまだまだ、自然の中で虫たちは頑張っていると感じます。捕虫網と虫かごを持って、観察に出発です。2年前の自然が今後もずうっとあり続けるように。

 

自然観察は、蚊に刺されたりススキで指を切ったりもしますが、色々な昆虫や生き物を見つけることが出来てとても楽しいです。人間が便利さを追い求め、自然を壊してしまうのはなんだか悲しく思います。道や草原にごみや古くなった家電製品が捨てられているのを見ると情けなくなるが、捨てられた冷蔵庫の中で美しい声で鳴いている鈴虫の声を聞いたり、水の中に捨てられた古タイヤを家にしている魚たち、他の生き物も環境に対応してどっこい頑張って生きているなと感じます。外来種の生き物に住む場所を奪われながらもまだまだ生きている在来種の生き物。頑張れ僕のフィールドの生き物たち!!これからも僕を、自然好きの子どもたち、子どもの心を持った大人たちをドキドキ、ワクワクさせてくれ。

観察ポイントごとの説明

(1)牧場

 宮崎県で発生した口蹄疫のせいで、一般の人がウシを見に行くことが難しくなりました。入口には、「関係者以外立ち入り禁止」の文字があります。牧場の人に聞くと「今は消毒をしなくてはいけないから、昆虫は、ほとんど目にすることはなくなった。」そうです。今年はまだダイコクコガネを、見つけることはできていません。ただ、牧場の空には、赤とんぼ、アキアカネがのんびりすいすいと飛んでいました。

 

2年前

 僕のフィールドの入口に牧場があります。僕が小さいときにお父さんやお母さんと一緒によく牛を見に行っていました。ある日柵の近くに牛の分があったので見ているととても小さな虫がいました。それがダイコクコガネでした。牧場の人に聞くと牛の糞の下によくいるそうです。センチコガネなどもいるときがあります。ダイコクコガネは、角のあるものもあり、とても小さなカブトムシみたいです。

 

(2)小川

 昨日の台風9号の影響で水が少しかさが増し流れが速くなっています。ここには、まだベンケイガニ、アカテガニが住んでいます。2年前にいなかったジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)がど派手なピンク色の卵をセメントの壁に産みつけていました。ジャンボタニシは、すごく泥臭いにおいがします。ジャンボタニシも外来種だそうです。日本のタニシ(マルタニシ)は、近頃このフィールドでは、見たことがありません。お父さんが小さかったころには、田んぼにタニシがたくさんいたそうです。おじいちゃんは、「タニシを食べたことがある。」と言っていたそうです。また、ここには、フナやアブラハヤ、カワニナなどがいます。星と呼ばれるぶつぶつがついたアブラハヤのオスが、婚姻色になりメスを追いかけている姿も今年も見ることができました。友だちとアブラハヤを釣って塩焼きにして食べました。おいしかったです。よく晴れた日には、カメが甲羅干しをしている姿を見かけます。カメは意外とすばしっこく人が近づくと水の中にポチャンと逃げてしまいます。カメは、ほとんどがミシシッピーアカミミガメでクサガメは少なく、ニホンイシガメはほとんど見たことがありません。中には、ウンキュウ(クサガメの雑種)らしいものも見かけられます。石の下には2年前と相変わらずカワゲラの幼虫もいて、小石でこしらえた家がありました。川底には、オオカナダモが生えています。今年は、鮎の姿やザリガニは見られませんでした。川の水が多かったので流されてしまったせいかもしれません。

 

2年前

 少し流れが速くなっています。川底は小さな石がいっぱいです。ベンケイガニやアカテガニが住んでいます。川底の石の下には、アメリカザリガニがいてするめをエサにして釣ることができます。川底の少し大きな石をひっくり返すと小さなカワゲラの仲間がたくさん見られます。時々小さな鮎が石についたコケを食べているのも見かけます。この川にも大きなミシシッピーアカミミガメがいます。逃げ出したのか、飼えなくなって誰かが逃したのか分かりませんが、外来種が進入することで生態系への影響が心配されます。

 

(3)道路

 2年前は、舗装されていなかった道路が、舗装され車がよく通るようになりました。雨が降った後の水たまりにアオスジアゲハが並んで水を飲んでいました。ストローのような吻を伸ばして長い時間吸っていました。2年前と同じように道を横切ろうとしたベンケイガニが車にひかれてぺしゃんこになっていました。時々民家の方へえさを探しに行くタヌキを夕方に見かけることがあります。人がいてもほとんど気にすることなく悠々と道路を横切っていきます。

 

(4)クヌギの木

 木は切り倒されて埋め立てられ、新地になりおじさんが鶏を飼っている。畑も作っていて、もうカナブンやハチはいない。夕方になると畑の隅の土手でコオロギが鳴いていた。たぶんエンマコオロギだと思う。鳴く虫たちのコーラスは、依然として健在です。おじさんが畑で作っている大根の葉っぱやニンジンの葉にチョウが卵をうみつけ葉っぱに穴をあけていた。キアゲハやツマキチョウの幼虫のせいらしい。樹液を出す樹がなくなってしまうと、とたんに樹液を食料にする昆虫たちがいなくなってしまう。人間の都合で小さな昆虫たちは、減少してしまうことが多いのだ。里山と生き物の関係は、密接な関係にあると言える。開発して手を加え過ぎても、ほったらかしにしてしまっても駄目なのだ。夕方になるとタヌキが山から現れて取り小屋のまわりをうろついたり、農作物を荒らしたりするそうです。

 

2年前

 クヌギ林とはいえないほど6本しか生えていない。大人の人が鉈で傷をつけたところにアオカナブンがたくさん樹液をすいにやってきていた。時には、大スズメバチがやって来てカナブンと樹液の取り合いをしていた。傷をつけた大人には残念だったが、僕のフィールでは、クヌギには、カブトムシやクワガタはやって来ないようだ。立木に傷をつけるのもどうかと思う。夏の終わりになるとスズムシやコオロギなどの秋に鳴く虫たちが合奏を始めた。

 

(5)山からの小さな川

 土ガエルが、コロコロ鳴いていた。岩の隙間には、アメリカザリガニやメダカがいる。本当に小さな川で、水の上をシオカラトンボが飛んでいたりします。水の中には、カワニナがまだ今年も住んでいました。川底にカワニナが這った跡が残っています。

 

(6)休耕田

 近くの小川には、初夏の夕方にヒメボタルがゆらゆらと飛び交っている姿は、とてもきれいです。でも、年々ヒメボタルの数が減ってきているように思います。今年は、6月に雨が多かったこともあってか僕が見たのは、ほんの2,3匹だけでした。新しい道路も近くに出来、その工事のため数年前から小川に濁った水が流れ込み蛍のえさであるカワニナや他の水生生物がだんだん住めなくなってきたからだろう。やはり、高速道路の工事の影響は大きいと思います。今後、蛍の数は、どうなっていくかを見守っていきたいです。今年も夕方に、「ケーン。ケーン」というキジの鳴き声と空を飛ぶ姿を見ました。小川の土手には、彼岸花の球根がたくさんあり、イノシシが掘り起こして食べた跡がありました。ドロドロにぬかるんだ土の上には、イノシシの足跡と、タヌキの足跡がありました。近くに植えられた杉の苗木は、シカに食べられていて大きなヒノキには、シカが角を研いだ跡と毛が残っていました。まだまだ、民家に近いにもかかわらず野生動物が暮らしているようです。でも、これは、山に食べるものが少なくなって本来山の奥に住む動物たちが、民家の近くまでやってきたのかもしれません。ウシガエルや小さなカエルたちもいて蛇もシマヘビやアオダイショウを見かけました。今回僕は、マムシを、見つけることはできませんでしたが、鶏を飼っているおじさんが、2匹捕まえて焼酎漬けにしたそうです。

 

2年前

 お父さんが子どものころに田んぼを作っていたところは、ススキが僕の身長位まで生い茂っている。その中には、マムシがいて散歩に来ていた牧場の犬が咬まれました。他にタヌキやシカがいて近くで働いているおじさんがシカの角を拾いました。キジの「ケーン。ケーン」という鳴き声や飛ぶ姿を見ることも出来ます。初夏には、ヒメボタルがゆらゆらと飛び回りとてもきれいです。

 

(7)沼

 芦とガマが多かった沼は、今年行ってみると水面の多くがホテイアオイに覆われていて水面がせまくなっていました。2年前たくさん飛んでいたギンヤンマなどの大型のトンボは、ほとんど見られなくなり、小型のコシアキトンボやシオカラトンボ、イトトンボが飛び交っていました。水の中には、ウシガエルのオタマジャクシ、フナ、メダカが見られ不法投棄された電化製品の上には、時々ミシシッピーアカミミガメが日光浴をしています。この沼でもクサガメやニホンイシガメよりも外来種のミシシッピーアカミミガメが多いです。また、こんな小さな沼でもまだまだ綺麗なようでコバルトブルーのカワセミが枝の上から獲物を狙ってダイビングするのを見ることができます。2年前よりメダカや小魚の数が減ってきたように思います。よく見ると、水底には、アメリカザリガニの小さなこどもがハサミを動かしています。大きな髭を揺らしてナマズがそれを狙っている事もあります。ゴイサギが全く動かずに長い時間獲物を狙っています。僕が近づくと、大きなバサバサという羽音を立てて少し離れた所へ飛んでいきます。カルガモのつがいが水の上に休んでいる事もあります。

 

2年前

 ヤマガエルやウシガエルのオタマジャクシ、メダカ、フナなどがたくさんいてそれを狙ってコサギやとてもきれいなカワセミがやって来ます。イシガメやクサガメが日向ぼっこをしているのもたまに見ます。シオカラトンボ、コシアキトンボ、アカトンボ、ギンヤンマ、オニヤンマや、イトトンボもたくさんやって来て、沼の上を飛び交っています。

 

(8)沼の中の草原

 沼の一部が陸地化してススキやカヤ、芦などが生えている。すすきの株の間には、昼間ノウサギが昼寝をしていて、人が近づくと飛び出してきます。所々にウサギの糞が落ちています。カヤネズミもまだいるようで、ススキがぐるぐる巻になった巣のようなものがありました。今後こんな草原がどんどん広がっていくのではないでしょうか。

 

(9)小さな沼

 柳の木のあった所に水がたまって小さな沼ができていました。ここには、前からあった沼にいたクサガメやナマズ、シオカラトンボなどが見られます。水の中には、ヤゴもいて小さな魚を狙っています。ここもホテイアオイがいっぱいで、30センチメートくらいの物がびっしりです。ホテイアオイは、今、ヒヤシンスのような薄紫の花が満開でとっても綺麗です。

 

(10)柳の木

 今年は、樹液が出ている木もあるのですが、カブトムシやクワガタの姿を僕は全く見ていません。カナブンやヨツボシケシキスイの姿さえもまだ見ていません。見つけたのは、オオスズメバチが樹液を独り占めしている姿とヤブカやハグロトンボ、ウシガエルなどでした。今年は、カブトムシやクワガタはどうしたのでしょうか?

 草むらが揺れて、ノウサギやネズミが飛び出してきたこともありました。今年も朝のうちは、クマゼミ、夕方はヒグラシが柳の木にすがり鳴いてきました。別の日に樹液が出ている木を見てみるとアリがたくさんいて、卵を運んでいました。これだけのありがいては、いくらクワガタやカブトムシでも樹液を吸うことはできないでしょう。クワガタやカブトムシがいないのは、今年だけにしてほしい。来年はまたたくさんのカブトムシやクワガタに会いたいものです。

 

2年前

 僕が大好きなポイント。ここもお父さんが子どものころは、田んぼだったそうですが、白柳の木が生えていてそこの木の内の何本かから樹液が出ています。カブトムシやクワガタムシはその樹液が出ている白柳の木をとてもうまく見つけ出します。ヒラタクワガタ、コクワガタ、ノコギリクワガタ、ネブトクワガタ、シロスジカミキリなどたくさんの甲虫が見られます。白柳の林の中には、キジバトが巣を作っていて観察しに行った僕を驚かせます。

 

(11)ススキ野原

 ススキがたくさん生えていて、コオロギやキリギリスがたくさん鳴いています。空には、赤とんぼが群れになって飛んでいます。タヌキやノウサギがいるらしくて、ふんや足跡がところどころにありました。ススキには、蜘蛛が巣を張って虫を捕まえたり、卵を抱えていた。時々ススキがガサガサとなり、川の水がポチャンとなる。水の中をよく見るとミシシッピーアカミミガメが泳いでいた。この川の下流では、ミシシッピーアカミミガメをみたことはあったが、上流にもいることが分かった。外来種のミシシッピーアカミミガメは今後どんどん増えていくことだろう。

 

2年前

 ヤマカガシ、シマヘビなどやノウサギが見られます。ススキの中には、カヤネズミの巣があります。近くで働いていたおじさんが、ノウサギの子どもを捕まえて見せてくれました。手のひらに乗るくらい小さくてとてもかわいかったです。