応募期間

2024年6月1日 (土)~ 9月30日 (月)

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受賞作品一覧
優秀賞
第36回 中学生の部

犬の散歩ルートに潜む危険

河村 麻生

東京都
明治大学付属中野八王子中学校
中学校1年生

全体説明

私の観察した道は普段、犬の散歩をしている道だ。この道の住宅街には所々に緑があり、川辺に着くと草が生い茂り、小さな森の様である。また、散歩中はいつも珍しい虫に遭遇できるという理由から観察路に選んだ。
私は今回、毒のある生物について調べた。理由は二つある。一つ目は犬のためだ。私の飼い犬にはストレスがたまると道端の草を食べる癖があり、毒のある物を食べてしまわないか心配になったからである。二つ目は、毒も自然の魅力の一つだと思うからだ。この植物のどこにその性分があり、人にどの様な影響をあたえるのかを調べる事で植物も人間も知る事が出来る。また、植物の毒は薬になる可能性も秘めている。この様な理由で私は毒について調べた。
私の観察路の研究を見て、ぜひ毒についても興味を持ってほしい。きっと調べるうちに新しい世界が広けてくるだろうから。

観察ポイントごとの説明

観察ポイント①  オモト(万年青)はこの場所以外にも沢山植えてあった。なぜこんなに植わっているのか母に訪ねた所、オモトは鬼門よけの縁起物だという事が分かった。葉は硬く、鮮やかな緑色でピンと立っている。最初は元気の良い植物だなと思って観察していたが、後で調べてみた所、根にロデインという成分が含まれており、全身けいれんや呼吸異常などで短時間で死に至るという。また、強心剤という草にもなるらしい。

観察ポイント②  私の調べた観察路にアサガオは6つあった。4つがヘブンリーブル―、一つがスカーレットオハラ、もう一つがチョウセンアサガオだった。チョウセンアサガオは白色のラッパ形、花弁の先がツンと出ている所が愛らしかった。純白という感じだったが調べてみると株全体にスコポラミン、アトロピンを含み、食べると発狂状態となる猛毒である事が分かった。まさに「可愛い花には毒がある」の言葉通りだ。

観察ポイント③  このキノコは私が街道にそって並ぶ木を観察しながら歩いていたらある木の下で見つけた。白いキノコで頭の部分に茶色の模様があった。回収しようかと思ったが触ってはいけない毒キノコかもしれないと思い断念した。後で調べた所、フクロツルタケという毒キノコに似ていた。次に回収しに行った時にはそのキノコはなかった。フクロツルタケは切断し、空気に触れると肉が白から赤に変色するという。回収すればよかったと後悔している。

観察ポイント④  チャドクガはよく街中でも見かける。サザンカやツバキの葉に幼虫がいる。何十匹も葉の裏に集まっている所はゾッとする。チャドクガの幼虫は黄色と黒色をしていて、二十五ミリメートルくらいの長さと案外体が長い。チャドクガの恐ろしい所は触らなくても、そばにいるだけで発疹や痒みが生じる所だ。チャドクガは毒針毛を空中に浮遊させる事ができる。そのため近くにいるだけでも危険なのだ。

観察ポイント⑤  ドクゼリは川辺に大量にはえていた。ただのセリとの見分け方は高さの違いで、ドクゼリの方がセリより高いのが特徴だ。茎は細く、葉は少し細長かった。通りがかった時は花も咲いていなかったので一瞬、雑草かと思ってしまった。ドクゼリにはシクトキシンという毒があり、ケイレンや意識障害を引きおこすそうだ。次、散歩で通る時はよく注意しながら通ろうと思う。

観察ポイント⑥  ウマノスズクサはドクゼリ以上に川辺に繁殖していた。花の形がつつ状と特徴的なため、すぐに見つけられた。葉はやわらかく、モサモサと手がはえていた。高さはばらばらだった。毒の成分は根にあるらしく、その成分はアリストロチン。呼吸停止などをまねくという。昔は薬として使用されていたが、今は毒成分がまだ明確ではないために使用は中止されている。これから成分が解明されれば新しい薬が生まれるかもしれない。

観察ポイント⑦  アオツヅラフジは今回記した川辺の他にも道ばたやヤブに自生している。よく見かける植物の一つだ。ツル性の植物で石垣などにはよくついている。そんな見なれたアオツヅラフジを後々調べてみた所、株全体にアルカロイドを含み、中でも果実にトリロビンなどの毒成分を多く含んでいる。心臓麻痺を引き起こす。こんなに身近に沢山危険な毒があったとは思いもしなかったので驚きだ。

観察ポイント⑧  日本で一番多いハチであるセイヨウミツバチ、川辺から公園にかけてよく見かける。頭から胸にかけてフサフサト毛がはえていて、色も他のハチと比べて落ちついている。ハチの中でも小さなセイヨウミツバチだが持っている毒はかなり強力である。歩速に立ちさった方が良い。

観察ポイント⑨  アオカミキリモドキは、私が草むらに入って草の写真をとっていた時バックにくっついてきた。気持ち悪かったので写真だけとってバックをふりまわして追い払った。
家に帰って調べてみると、その虫は体から体液を出すそうでそれにふれるとヤケド状になってしまうそうだ。接らなくてよかったとホッとした。

観察ポイント⑩  マダニは犬の敵である。散歩に行く前に一回、中間地点でもマダニスプレーをかけるほどよくないものだ。犬についたマダニはその血を吸って大きくなり、卵を生んで数を増やす。引っ越し前よりもマダニが多くつくので原因を調べた所、川辺の草むらには大量にいることが分かったので、なるべく草むらに入らないように進もうと思う。

観察ポイント⑪  カの中でもヒトスジシマカは縞模様がよく目立ってとても見つけやすかった。このカはフィラリアという寄生虫を持っていて、血を吸う時にその虫が体に浸入する危険がある。また、カを観察してみて面白い事を発見した。それは、カに血を吸われている時にこぶしを握って筋力を収縮させるとおこる。カはたぶん、人間がストローでジュースを飲むのと違って、口をさすと自動的に血が口の中に入る仕組みになっている。なので口をぬかないと永久に血を体にためこみ続ける事になる。どうやら筋肉を収縮させるとカは口がぬけなくなるらしく、もがいていた。どんどん腹がパンパンになってきて最後は破れつした。破れつした時は本当にびっくりした。帰って調べてみるとやっていた人は他にもいた。カの毒について調べていたがもっと面白い事が分かってよかった。

観察ポイント⑫  オシロイ花は私にとってなじみ深い植物だ。小学校のころからオシロイ花の種をつんで遊んでいた。黒い種皮を先っぽに力を入れて割ると中からはニンニクの小さいバージョンのようなものが入っている。その中に白い粉が入っていて、チョークがわりにして遊んだ。なんとこの種には毒がある事が分かった。トリゴネンという合物で嘔吐などを引きおこす。ニンニクみたいと思っていた時点で危なかったかもしれない。

観察ポイント⑬  スイセンは白く凛とした姿の花を咲かせる美しい植物だ。私が観察した時は花は咲いていなかったが直っすぐのびた葉が目に付き、見つけられた。スイセンには全体にリコリンが含まれているらしく、ヒフ炎やおう吐を引き起こす。スイセンのやっかいな所は、花がないとニラにそっくりな所だ。毎年ニラだと思って食べたらスイセンだったという事件が起きている。私も気をつけなくてはならない。

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