受賞作品一覧

のんびり歩く私の散歩道

佳作
尾崎莉子
兵庫県
賢明女子学院高等学校
高校1年生
第28回 高校生の部

全体説明

私の家は山田町という所にあります。名前の通り、山と田んぼばかりがある小さな田舎の村です。

 田舎なので、当然自然が広がっている訳で、春になると、山には山桜が咲いて山の一部がピンク色になり、とても美しいです。夏はセミの声はもちろん、トンボやら蝶々が飛び回っています。秋には紅葉がとても美しく、もみじ狩りが楽しみになります。冬になると、なんとなく寂しい感じがするものの、雪が降った日には辺り一面が真っ白になって、外に出て足跡を付けるのがもったいなく感じてきます。

 この村で一年を過ごすと、四季がより感じられると思います。散歩をして、畑仕事をしている人と話をしてみたり、小道とか自分のお気に入りの場所を見つけてみたり、とゆっくり時がながれていく感じを味わえることができると思います。

観察ポイントごとの説明

(1)

スタートしてすぐの所に、3メートルくらいの本が生えていて、花が咲いていました。図鑑で調べてみると、「ムクゲ」という夏の木らしいです。最初、フヨウに似てるな、と思ったのですが、葉の形とかが少し違っていたのでムクゲだと思います。

 さらに、ムクゲには様々な色があるそうです。ここで見れたのは、ピンクと紫をまぜた様な、かわいらしい色の花でした。

 

(2)

しばらく歩くと、今度は左手に背の高いススキのような植物の群が見えます。これは「セイタカアワダチソウ」と言って、10月~11月に黄色い花がびっしりと咲きます。今はまだ夏なので、花が咲いているのは見る事ができませんでしたが、秋になるとこのあたりが黄色く染まるのを想像して、今からとても楽しみになってきます。

 

(3)

ゆるやかな坂道を上がって行くと、おじぞう様に会うことができます。小さなおじぞう様が6、7体あって、とてもかわいらしいです。手を合わせて、ふり返ると田んぼばかりの美しい風景を見ることができます。

 ふと足元を見ると、イラクサが咲いていました。小さい頃はイラクサの葉を、服にぺたぺたくっつけて遊んだことを思い出します。

 

(4)

お墓がある所を過ぎて少し歩くと、ツルやシダに混じって、背の高いひまわりが一本、立派に生えていました。向日葵と書くように、若い枝やつぼみが少し太陽に向かって回るらしいです。他に、ヒマワリは一本もなかったので、このヒマワリはどこからやって来たんだろう、と思いました。誰かが植えたのか、どこからか飛んできたのか…。いろいろ考えると不思議な気持ちになってきます。

 

(5)

ヒマワリを見て、振り返ると谷田池という池があります。そこの周辺に、クズがたくさん咲いています。冬になると、そのクズの枯れ木をリースの材料とするために、私の母がよくそこまで取りに行きます。最近はもう行かなくなってしまいましたが、今度は私がリースを作ってみようかな、と思っているので冬になったらリース作りをしてみようと思います。

 

(6)

山の小道のような所に入って行くと、今までとても暑くて仕方なかったのが、あっという間に涼しくなりました。それに、そこはなんだか物語の一場面のような神秘的な感じがしました。そんな時に見つけたのがアメリカセンダングサです。これは、私の家族の間では「ひっつき虫」と呼んでいて、山に出かけると、服などに知らぬ間にひっついています。

 そういう風に種を運ぶ植物の賢さには感心してしまいます。

 

(7)

涼しげな、少し静かな所を歩いて行くと、ネムノキを見つけました。その植物は花がピンク色でかわいらしいです。そして、少し変わっていて、夕方になると葉が閉じて、花が咲くという植物です。「ネムノキ」という名前からして、なんだか眠そう…という印象と夜に動き出しそう…という印象を受けました。夕方になると、葉が眠って花が咲く、というのは二面相を持っている様で、とてもおもしろいと思いました。

 

(8)

小道を抜けると、老人ホームがある所へと出て来ます。そこから、奥池の様子が見ることができます。すると、何か動物のような物が動いています。後で調べると、ヌートリアという外来種らしいです。父に聞くと、つい最近ここらでも見られるようになってきたそうです。ヌートリアは、少しかわいいなと思いましたが、やっぱり池の生態系が崩れるだろうからいけないと思いました。

 

(9)

散策も終わりに近付いてきた頃、草木の陰でツユクサを見つけました。この植物は、しっとりとした所でしか咲かないそうです。花は青っぽい色で、朝に咲くそうです。どことなくはかなげで、かわいらしく、上品な印象を受けるその様子は、まるで平安時代の日本人女性のようです。この植物は、日本に昔からあるので、昔の人もこの植物を見て、はかなげだなぁとか思ったのでしょうか。

 

(10)

最後のポイントは、夜に見つけました。最近ではほとんど見かけなくなった、ホタルがいました。

 この事を母と祖母に話すと、

「昔はよく見かけたのに、最近は全然見かけへんねぇ。」

と、すごく珍しがっていたし、なつかしがっていました。

 また、ホタルがたくさん見れるような環境をもう一度とり戻したいと思いました。