応募期間

2024年6月1日 (土)~ 9月30日 (月)

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受賞作品一覧
優秀賞
第25回 高校生の部

自然の宝庫~私の住むあじさいの里~

中尾絋歌

兵庫県
兵庫県立大学附属高等学校
高校1年生

全体説明

このコースは兵庫県播磨地域の北西部に位置する、「兵庫県宍粟市一宮町深河谷」です。やまぶき・はなみずき・サクラ・ねむの木そして深河谷のあじさいと6つの花木からなる「一宮町下三方の花街道地区」のうちの一つの里です。

 地形が狭峻で平地が少なく急勾配な所が多い深河谷には、西から東へと1本の道があり、その両側はあじさいで埋め尽くされています。それを取り囲む周りの山々は針葉樹や広葉樹・田畑は水稲や野菜等、緑で覆い尽くされています。

 動物はというとシカ・イノシシ・キツネ・サル、時には熊もいます。特にシカは人に慣れたもので人家の近くや畑にきては毎晩鳴いています。そして川には水が冷たくてきれいだからこそいるというヒラベ・アマゴ、また揖保川との合流点にはアユもいて釣人でにぎわっています。

 春にはお大師さんや観音様のお祭り、夏は川下祭り・あじさい祭り、秋には秋祭り等と昔から続いてきた行事も盛んに行われ、自然と伝統を大切にしてきた「深河谷の里」です。

観察ポイントごとの説明

(1)あじさいロード

 平成8年頃から植栽が続いている。5箇所の花壇と深河谷道の両側にところ狭しと植えられている。5月頃から7月末まで色とりどりに咲き見ごたえのあるあじさい(・・・・)ロード(・・・)である。西洋あじさいとがくあじさいの2種類があるが、深河谷のあじさいはほとんどが西洋あじさいである。こんな色のもあったのかと思う程色々有り、ぜひ一度見てもらいたい。

 

(2)植林された木々(スギ・ヒノキ)

 深河谷のあじさいロードに沿って49戸の民家があり、前をみても振り向いてもそこはスギ・ヒノキの山々だ。元々は大正の中ごろ、郡内の大部分で部落有林野の整理統括がなされたときに住民総意により全員天役で地拵えして植林されたらしい。緑あふれる夏・少しづつ赤く染まっていく秋・雪をかぶった冬そして少しづつ芽吹いていく春。三方を山で囲まれている深河谷の四季折々の山の姿は景観である。

 

(3)渓流に住む魚アマゴ(ヒラベ)

 海に下らず、一生を河川で過ごす魚。アマゴは成魚でも25㎝ぐらいにしかならない。体には暗青緑色のサケ科稚魚の特徴であるパーマークと紅色の斑点があるきれいな魚。地元の人はヒラベと呼んでいる。流れが急でもなく、深くもない深河谷の川では大人に混じって釣りをする子供の姿がよく見られる。一時減ってきていたが生活排水等の整備で川の水がきれいになった事や稚魚の放流等でまた増えてきているようだ。

 

(4)広葉樹(クリ・クヌギ・ナラ)

 クリ・クヌギ・ナラはブナ科の落葉性の広葉樹で幹からは樹液が出るので、カブトムシ・クワガタムシなどの昆虫の住家となっている。秋になるとクリの実が成りその実は焼いたり栗ごはんにすると美味しく食べられる。私の家ではクヌギの木を切りしいたけ菌を植えてしいたけを栽培している。家で食べる分だけだけど買ってきたのより美味しい。

 

(5)昆虫の王様カブトムシ

 池王神社付近はアカガシ・クリ・クヌギなどの広葉樹が生い茂り約1haのうっそうとした森を作っていてまるでトトロの森のようだ。夏になるとカブトムシ・クワガタムシ・蝉などがたくさん飛んでくる。しかし数は減ってきているそうだ。私が小さかった頃は、夏になると家の網戸や街灯に飛んできたのや家の近くのクヌギの木にいたのを捕まえて飼ったりしていたが、世話をするのも大変だったなあと覚えている。

 

(6)深河谷の自慢天然記念物アカガシ

 推定樹齢630年のアカガシの木は兵庫県の天然記念物に指定されている。幹は空洞化しているが樹勢は旺盛である。幹の周りは子供が手を広げて繋ぐと5~6人が必要な程太くなっている。遠方からも見に来られる人がいるくらい深河谷の自慢の一つである。アカガシの木の下に祀ってある()()()さん(・・)は、昔の人はほとんどが山林で働いていたので、その人達の安全を祈願してお祭してある。

 

(7)見ても驚かなくなったシカ

 私の家の近所にも住みついているシカの一団がいる。夜、帰宅する時など道の真ん中に立っていて車が近づいても全く動じない。山に食べるものが無くなってきたせいか、畑の農作物を食べているようだ。荒らされて困る農家の人達がシカ柵などをしてシカが入ってこないようにしているが、柵に引っかかって死んだり自動車と衝突して死んだりしていることがあるらしい。どうしてシカが里まで降りてこなくてはいけなくなったのか、今一度考えなくてはならない事だと思う。

 

(8)深河谷に住む鳥メジロ

 家の庭にもスズメ・カラス・ツバメ等いろいろな鳥が飛んできますが、その中にメジロがいる。スズメと同じような大きさですが、体全体が緑がかった色をしていて目の周りに白い輪があるのですぐに判ります。春先によく見られ「チーチー」と鳴く。お父さんが子供の頃は、木の枝にとりもちを塗って捕まえていたそうだ。最近は減ってきているように思う。

 

(9)ホタル狩り

 ホタルを観るならこの場所である。一時少なくなって何処でも観れるものではなくなってきていたが、最近またよく観られるようになってきた。特にこの赤い橋にくるとホタルの群れによく出会える。ホタルも水のきれいな所にしか住まないということなので、深河谷・揖保川でよく見られるということは、きれいな川になってきたのかなあとうれしく思う。

 

(10)揖保川名物アユ

 私が小学校を卒業するくらいまで、地域の幼稚園児がアユの放流をしていたように思う。アユの解禁になると遠方からアユ(・・)かけ(・・)にやってこられる。アユの塩焼きはとても美味しい。淡路の一宮の小学校との交歓会(48年続いている行事で下三方小学校の子は5年生になるとお互いに交歓相手の家に分宿して交流する)では、メインはアユの塩焼きだ。夏、アユを捕ってそうめんとともに秋に来る交歓生たちへの一番のごちそうにしている。

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